何が言いたいのかわからない

 「小泉進次郎環境大臣は、日本の国益を損ないましたね」

 ある中央省庁幹部は、スペインで開かれた、国連の気候変動枠組み条約第25回締約国会議(COP25)での小泉氏の演説についてこう嘆く。

 今回のCOP25では、日本の石炭火力発電からの脱却や温室効果ガスの削減目標の引き上げへの取り組みなどが注目されていた。小泉演説の何が問題かを指摘する前に、氏の公式ブログに掲載されている演説内容を見てみよう。

〈日本は石炭から太陽光への転換をモンゴルで支援するなど、二酸化炭素削減などに取り組んできた実績がある。このCOP25で、来年2020年に本格的に始まる国際的枠組みのパリ協定のルールをつくり、始動させていきたい。

私は世界でも最年少の大臣の一人でありミレニアル世代の最年長だ。若者の、サステナブルへの思いに、私は共感している。そして、年長世代の気候変動への態度に怒りを感じている若者がいることもわかっている。

私は来年、子供が生まれる予定。2050年以降の未来は、私自身が生きる未来であり、来年に生まれる私の子供はもちろん、すべての子供の未来そのものである。未来への責任を果たす。

もちろん、国際社会から、石炭政策を含め厳しい批判があることも承知している。グテーレス国連事務総長は先週『石炭中毒』をやめるよう呼びかけた。これは、日本に向けたメッセージと私は受け止めている。

COP25までに、石炭政策については、新たな展開を生むには至らなかった。しかし、これだけは言いたい。私自身を含め、今以上の行動が必要と考える者が日本で増え続けている。

日本は脱炭素化に完全にコミットしていないと思われているかもしれない。しかし、それは違う。我々は脱炭素化に完全にコミットしているし、必ず実現する〉

 小泉氏のこの演説について、先の中央省庁幹部は、自身の海外勤務の経験を踏まえて問題点をこう指摘する。

 「最大の問題は、この演説が『日本だけでしか通用しない内向きの論理』に終始し、国際標準に達していない点です。

 海外の人がこれを素直に聞くと、『日本は努力してるけど、今回は達成できませんでした。私は世界でも最年少の大臣だし、子供も生まれて父親になるし、次の世代への責任感もあります。我々は脱炭素化にコミットしているし、次は必ず実現します』という風に受け取ると考えられます。

 はっきりいって、これでは全く理解されないどころか、彼個人だけでなく、日本政府全体への信頼低下にもつながります。

 国際社会の閣僚級会合での議論の文法は、まず結論を提示し、そこに至る理由を話していくのが一般的です。小泉氏の話の結論は『具体的な目標を設定できなかった』ですが、その理由は何一つ明示されず、具体的な情報がなく、何がしたいのかもわかりません。

 これは日本人特有の『結果より頑張りを褒める』という文化に依拠するもので、『結論と論理』を求める欧米人が一番イライラする話法です。

 日本の二酸化炭素排出抑制技術は世界トップレベルですし、決して世界の排出量抑制に貢献していないわけではない。科学的根拠さえ示せば、日本の貢献を具体的に主張しても十分に通用すると思います。

 小泉氏のような演説をしても、国際社会では『自分の意見がない無責任な国』と見られるのが関の山です」

 さらに、小泉氏が「若いから」や「親になるから」という言い訳を持ち出したこともマイナス要因になる。

 「良かれと思って入れたのでしょうが、政府代表の発言として何の価値もないどころか、『年配の人や子どもがいない人は、将来世代への責任感が薄い』と言っているようにも捉えられかねません。ポリティカル・コレクトネス(政治的正しさ)が重要視されている世界的な風潮の中で、不用意な発言だといえます」

続きはソースで
12/16(月) 7:01配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20191216-00069223-gendaibiz-pol