台風・大雨・停電に悩まされた県民に訪れる新たな問題。狩猟、試食、革工芸で有効活用も

千葉県いすみ市の住宅街を歩くとさっそく道路を横断するキョンに遭遇。オスには短い角と牙が生えている

「キョンは朝と夕方に山から下りてきて、稲、大豆、イチゴなどの農作物を食べてしまう。民家の庭にも出没し、植木の草花を食い散らかすので、住民は困っています。それだけじゃない。キョンはどこでもオシッコをするため、雨上がりの日には町中に牧場のようなムッとした臭いが充満する。夜になると首を絞められているかのような声で鳴き気持ち悪い。すばしっこく、罠(わな)を仕掛けてもなかなか捕まりません」(千葉県いすみ市の住民)

中略

 このままでは生態系が攪乱される恐れがあるとして、国は’05年、キョンを特定外来生物に指定した。千葉県はより早い’00年から駆除対策を進めている。

「千葉県は’13年からキョンの『防除実施計画』を実施中です。生息数の多い勝浦市、いすみ市、鴨川市など7市町を集中防除区域に定め、県や市町村単位で罠や猟銃を使った捕獲作戦を行っています。

 イノシシなどと同様、1頭捕獲してもらうごとに自治体は6000円前後の報奨金を出す。昨年度は捕獲と報奨金のためにおよそ4000万円の県予算を投じ、4111頭のキョンを捕獲しました。

 最終目標は県内から野生のキョンを完全排除することです。しかし、人手や予算の関係上、増加数に比べて捕獲が追い付いていないのが現状です」(千葉県環境生活部自然保護課の三井士郎副課長)

 増えすぎたキョンを有効活用≠キる動きもある。前出の石川氏は、キョン肉の試食を含む狩猟体験を主催しているほか、キョンのなめし革を使った工芸品を作る『ハント・プラス』社を立ち上げた。

「高たんぱくで低脂質なキョン肉は、台湾や中国では高級食材。レストランで1頭食べると約6万円します。春が旬で、刺身で食べると美味しい。私が主催する狩猟体験では、キョン肉のローストを試食してもらっています。牛肉の赤身に近いあっさりとした味わいです」(石川氏)

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