【証拠の却下】

本裁判は日本は侵略戦争を行い、
無条件降伏をしたと断定し、これを前提として審理を進めた。

したがってわれわれ弁護人が主として争わんとした、
侵略戦争に非ずとか日本軍隊は無条件降伏したけれども、
日本国は無条件降伏したのではなく、
ポツダム宣言なる有条件降伏をしたのであるから、
連合国の同条件無視は許されぬ、
という主張のごときは考慮されず、これに対する立証も認められなかった。

【証言台の元満洲皇帝・溥儀】

昭和21年8月16日、元満洲国皇帝溥儀氏が証言台に立った。
背丈もずんぐりとして、顔色浅黒く脂ぎって乱れた頭髪を額に散らした精悍な風貌は
背高く貴公子然ととりすました往年の皇帝をまぶたに画く者にとっては
およそ似ても似つかぬ風采面容であって、
期せずしてにせ者ではないか、の声さえ湧き上った。
しかもその証言が進むにつれ、その供述は日本国民を唖然たらしむるばかりであった。