12/27(金) 5:00配信  東洋経済 全文はソース元で
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ベスト10
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近年、国公立大学の医学部(医学科)志望者の減少が続いている。就職状況が好調なことや、地域で働く医師の養成を目的に推薦やAО入試で募集する「地域枠」の拡大で、一般入試の定員が減っていることなどが背景にある。

 それでも、学費が安い国公立大医学部が東京大学や京都大学に準ずる難関であることに変わりはない。国公立大医学部にコンスタントに合格者を輩出している学校は、高いレベルの進学校という点に異論はないだろう。
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 今回作成した「国公立大医学部合格者数ランキング」は、5年間の合計合格者数が多い高校順に並べたもの。年により合格者数の変動はあるが、ランキング上位の学校は、安定的に合格者を輩出していることがわかる。

■東海は12年連続で、国公立大医学部の合格者1位

 1位の東海は単年の国公立大医学部の合格者数ランキングで、12年連続でトップを続けている。1人の合格者を出すのも大変な国公立大医学部に、直近4年間は毎年100人以上の合格者を出している。結果、5年間累計の合格者は574人。地元の旧帝大、名古屋大学医学部に強く、2019年の合格者数は29人だ。同大医学部の占有率は25%を超えている。
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 2位の灘は、国公立大医学部の中でも群を抜いて難関な東京大学・理Vと京都大学・医学部の合格者数が多いことで知られる。2019年は東京大学が21人で京都大学が26人。もちろん両大学の医学部合格者数ランキングのトップで、共に総合格者に対する占有率は20%を超えている。

 3位の洛南は京都大学・医学部の合格者数が灘に次ぐ11人で、東京大学・理V(推薦の医学部を含む)にも5番目に多い5人が合格している。以下、4位ラ・サール、5位開成、6位久留米大学附設が続く。
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 いずれの学校も5年間コンスタントに多くの国公立大医学部の合格者があり、合計で300人以上を輩出している。こうした医学部に強い学校の特徴について、代々木ゼミナール・教育総合研究所の坂口幸世主幹研究員は次のように語る。

 「医学部合格者が多い学校のキーワードは『集約』。医学部志望の優秀な生徒が集まることによる、医学部入試に向かう一体感やモチベーションの醸成がある。優秀な生徒は教えやすい一方、優秀な教員の集約が高い合格実績として結実している。そして、それが好循環しており、安定して多くの合格者を出せる。合格者が多いことにより、入試問題や面接の傾向、入学後の教育などの情報が集約されることも、一般的な学校には求められない環境といえるだろう」



ランキング上位には、私立の中高一貫校で占められるのが特徴だ。国公立大医学部入試は、センター試験で85%以上の得点が必要。ほぼノーミスが求められる試験をクリアするには、地頭とともに低学年時からのトレーニングが必要となる。そのため、ランキング上位を私立の中高一貫校が占めるのは、医学部入試の特性上仕方がないことかもしれない。

■私立の中高一貫校が上位を独占

 私立の難関中高一貫校に入学するためには、早期からの教育に対する投資が不可欠。学費が安い国公立大医学部に入るためには、初等・中等教育時にそれなりのコストがかかる。
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 公立の3年制の高校でトップ10に入ったのは、10位の札幌南。同校も医学部入試に関する人や情報が集約する学校だ。長い歴史の中で、ロールモデルとなる多数の医学部合格者がいることが優秀な医学部志望者の集約を促し、安定的に多数の医学部合格者を輩出している。

 同校の2019年の北海道大学・医学部の合格者数は21人で、5人に1人は札幌南の卒業生。札幌市内に札幌医科大学があり、旭川医科大学も視野に入るという環境も後押しする。トップ20には、2019年の熊本大学・医学部入試で合格者の5人に1人を占めた熊本が13位に入っている。
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