日銀が30日発表した決済動向によると、10月の電子マネーの利用件数は前年同月に比べ8.5%増の5億5100万件で2007年9月の統計開始以降で最も多かった。決済金額は同8.8%増の4943億円だった。消費増税に伴って政府がキャッシュレス決済を対象にポイント還元制度を始めたことが追い風となり、利用が増えている。

Suica(スイカ)や楽天Edy、WAON(ワオン)、nanaco(ナナコ)など事前に現金をチャージして使うIC型の電子マネーを対象に日銀が集計した。PayPay(ペイペイ)などスマートフォンを使うQRコード決済などは含まれていない。

増税前後を比べるために季節調整した数字でみると、10月の利用件数は前月に比べ2%増だった。利用金額は増税前の駆け込み需要を取り込む形で8月から9月にかけて6.6%増に急拡大。10月も前月比0.5%増と反動減はなかった。

経済産業省によると、ポイント還元策の対象となるキャッシュレス決済のうち各決済手段が占める割合はクレジットカードが6割、電子マネーが3割、QRコード決済が1割。クレジットカードの10月の取扱高は前年同月比8.2%増で、9月の19%増から伸びは鈍った。電子マネーの伸びは、消費者が少額の支払いをキャッシュレス決済に切り替える動きを強めていることを映している。

日本経済新聞
2019/12/30 23:01
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO53992900Q9A231C1NN1000/