誤解@ 「田舎といえば中西部のこと」

中西部は人口が密集していない一地域にすぎない。国勢調査局の定義によると、都市部や人口が集中している場所以外のすべての場所が「田舎」に該当し、そのような地域がアメリカ国土の90%以上を占めている。「田舎」はどこにでもあるのだ。

アメリカの田舎は、ラストベルト(東部から中西部に広がる、脱工業化が進んでいる地帯のこと)よりもはるかに広い範囲を指す。実際、ニューヨークやカリフォルニア、マサチューセッツなど、田舎とは真逆に位置づけられるような大都市のそばに、田舎が存在するのだ。
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誤解A 「田舎の住人は白人」

2018年時点で、田舎とされる地域に住む約22%、のべ1000万人以上が白人ではない。そうした人々は、近所に住む白人たちとは大きく異なる政治的考えをもっていることが多い。選挙戦が非常に僅差で争われる場合、ペンシルヴァニアやウィスコンシンのような激戦州において、田舎に住むマイノリティからの支持が状況を一変させることもあり得る。

こうした数字を見ると、次のような疑問がわいてくる。南東部の田舎に住む黒人の有権者たちは、2020年の選挙戦で何を求めるのか? 中西部の激戦区に住むネイティブアメリカンたちは、大統領への弾劾手続きをどう考えているのか? 西部の田舎に住むヒスパニックたちは、民主党候補に何を求めるのか? 

しかし私たちは、これらの問いに対する的を得た答えを持っていない。なぜなら、私たちは田舎の白人について語ることにばかり多くの時間を割いてきたから、というのが理由のひとつだ。


誤解B 「田舎の人々は保守派である」

2016年、非都市部の有権者のうち、およそ3人に1人の有権者がヒラリー・クリントンに投票している。「非都市部」という表現は、正確には「田舎」と同義ではないが、人口統計の専門家らがこの2つの単語をほとんど同じ意味で使用しているほどに、これらは重複している。全体では、アメリカの主要な都市部以外の地域に住む人々のうち、600万以上がクリントン側に投票した。

かつて地元のガソリンスタンドで、退役軍人と元農家たちと話した際、驚いたことに彼ら全員がクリントンを支持していた。「田舎に住む民主党支持者」と「田舎に住む進歩主義者」というカテゴリーは、こんにちの政治議論から大きく抜け落ちた存在だ。
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誤解C 「田舎の人々はニュースを気にしない」

レポーターや政治家たちは、田舎のアメリカ人を政治ニュースには無関心な人々であるように見なしがちだ。彼らの心配事といえば、穀物価格や地元の税負担、小さな町の政治だと考えている。これは、「小さな町の人々は、大都市の動きとは離れた簡素な生活を送る簡素な人々である」、という有害なステレオタイプを強化している。

しかし、田舎におけるニュースの視聴・閲覧について、現実は大きく異なる。たとえば、2012年にピュー研究所が調査したとことによると、田舎の地域に住む人々とそうでない地域に住む人々がニュース視聴・閲覧する時間には、ほとんど差がなかった。

政治や犯罪、速報などの重要なトピックに対する関心度は、田舎とそうでないコミュニティに住む人々の間で差がないということが、この調査から明らかになっている。
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誤解D 「田舎こそが本当のアメリカだ」

これまで紹介した@〜Cの誤解によって作られた、「アメリカの田舎暮らしは他の地域の暮らしより本物で、よりアメリカ的である」という物語が、最も有害な誤解かもしれない。

この話の意図は、田舎の人々をアメリカの生活の模範例であり、理想であるかのようにすることだ。しかし、このように単純化したイメージに固執することは、実際には複雑で混沌とした彼らの人間性を否定することにつながる。その結果、「白人保守層の利益ばかり推進する田舎」という大雑把な図を描き出してしまうのだ。

全文はソース元で
1/11(土) 6:30配信
https://headlines.yahoo.co.jp/article?a=20200111-00000001-courrier-int