SBIホールディングスの北尾吉孝社長は17日までに産経新聞の単独インタビューに応じ、全国の地銀と連合を組む「第4のメガバンク構想」をめぐり年度内に共同出資会社を設立し、10行程度の地銀が構想に参加する方向だと明らかにした。ATM(現金自動預払機)の共通化や資産運用の高度化などで収支改善を図り、地元企業と地域活性化につながる事業にも取り組む。

 共同出資会社はSBIが資本金の51%を出し、メガバンクや有力地銀、海外の金融機関、ベンチャーキャピタルなどにも参画を募っている。今月下旬から、各社と出資額などについて大詰めの交渉に入る予定だ。

 この共同出資会社を通じて、既に出資した福島銀行(福島市)や島根銀行(松江市)に加え筑邦銀行(福岡県久留米市)など各地の地銀と事業を進める。「救済という発想はまったくない。経済合理性に基づき十分再生できる自信がある」と強調するように、経営再建を通じ出資に見合ったリターンを求めたい構えだ。

 北尾氏は「多くの人たちが手を握ればさまざまな技術を安く導入できる。一つにまとまって全国展開を図りたい」と述べ、IT技術を駆使して地銀のビジネスを再生させる考えを示した。ATM管理や勘定系システムの構築、マネーロンダリング(資金洗浄)対策など、多額の投資が必要な銀行経営の基盤を共通化しコスト削減に取り組む。

 また、「運用能力が不十分な地銀が多い」ため、人材育成やSBIグループが抱える収益性の高い運用商品の提供などで、超低金利環境でも収益を上げられる体制作りを急ぐ。地域経済の地盤沈下による融資案件の減少を補うため、国内外の新規融資先も紹介する。

 一方、地域経済を活性化するため、地元企業や地方公共団体とも連携する。

 例えば島根県では、島根銀を後押しして地元の有力企業に出資を募り、再生可能エネルギーの電力販売会社を作る構想がある。出雲大社など観光資源に恵まれながらホテルの数が足りない課題もあり、不動産開発会社とコンソーシアム(共同事業体)を組み地銀の遊休不動産を有効活用する。

1/17(金) 11:59配信
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