競泳水着素材メーカーの山本化学工業(大阪市生野区)は4日、ぬめりを持つ魚など海洋生物の表皮を再現して親水性を高めた素材「TXーSCS」を開発し、国際水泳連盟(FINA)の認定を取得したと発表した。

 新素材は、ポリエステル糸に特殊な加工を施すことで、5〜10センチの深さまで浸すと水の分子が表面に付着し、水の抵抗を減らすという。

 大阪市内で会見した同社の山本富造社長は新素材について、「選手のパフォーマンスが上がる水着を公平に使えるようにしたい」と述べ、他社が同様の素材や水着を売り出しても特許権を行使しないとした。米ナイキの厚底シューズ問題を受け、素材の進化を促すには「企業が技術をオープンにすることが重要」と判断。特許権を行使しないことで新素材の採用が増えるとみている。

 また、糸1本ずつに加工することで、自社の従来品より通気性を90倍に高めた。特にトライアスロン用に求められる機能で、今夏開催の東京五輪も念頭に大手数社での採用が決まったという。

 この素材を使用した同社が販売する競泳用水着の価格は女性用が3万円(税別)、男性用が2万円(同)。トライアスロン用は6万〜7万円(同)。

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