https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200210-00000057-mai-soci


辺野古70メートル以下も「軟弱」 防衛省の調査結果とは別のデータ存在
2/10(月) 20:34配信


 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画で、軟弱地盤が見つかった埋め立て予定海域について防衛省が国会などで説明していた調査結果とは別のデータが存在することが判明した。固い地盤があるとして調査しなかった水面下70メートルより下も「軟弱」である可能性を示す内容だ。ただ、防衛省は「業者が簡易的にしたサンプル調査で、基準に照らして信頼性が低い」として採用せず、国会などでも説明はしなかった。

【写真特集】辺野古土砂投入から1年

 データは、粘土層が海面下90メートルに達する地点の土のサンプルを採取し性質を調べたもの。強度を示す指標で6段階中2番目の軟らかさに相当した。防衛省によると、土の状態などの調査を委託した業者が簡易的に行ったという。

 地盤の強度を確かめるには、地盤工学会が定める調査方法で「乱れの少ない試料」を用いるよう求めている。同省は「簡易的なサンプル調査で、ボーリング調査のような精緻なデータではない。地盤の強度測定には使えない」と判断したという。サンプル調査は防衛省が依頼したものではなく、業者が実施した理由は確認中という。

 埋め立て工事について、防衛省は海面下70メートルまで砂杭(すなぐい)などを打ち込むことで地盤改良すれば施工可能としている。90メートルに達する地点については、周辺の3地点でのボーリング調査の結果から「(70メートルより下には)非常に固い粘土層がある」と説明。地盤改良工事を行う必要がないとして、調査もしていないとしていた。

 今回判明したデータは、70メートルより下も「軟弱」である可能性を示すものだ。しかし、防衛省は今回のデータを2019年3月に国会に提出した報告書で巻末の英文資料として添付したが特段の説明はせず、工事に関する助言を得るために設置した有識者でつくる技術検討会にも報告していないという。

 河野太郎防衛相は10日の記者会見で「(強度の)検討に適する資料ではない。特に心配することではない」と述べた。【田辺佑介】