0001ばーど ★
2020/02/13(木) 20:32:48.06ID:ee4gPrzK9■部屋にこもるストレスで「体重・血圧・血糖値・中性脂肪が上昇」
■健康な若年者なら船内に閉じ込めてよいのか?
国際社会の批判を受けて、政府は持病がある人や高齢者などを下船させる方向で調整を進めているようだ。関係者の発言としてメディアが報じている。遅きに失した対応だし、健康な若年者なら船中に閉じ込めていいというなら、厚労省は今回の経験から何も学んでいないと言わざるを得ない。
ニューヨーク・タイムズは「(クルーズ船は)中国以外で最も感染者が多い場所」であり、停留を続けることが感染を拡大させると指摘している。今こそ、検疫の在り方をゼロベースで見直すべきだ。
検疫は検疫法に基づく行為だ。検疫法には以下のように記されている。
「検疫所長は外国で検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症が発生し、その病原体が国内に侵入し、国民の生命及び健康に重大な影響を与えるおそれがあると認めるときには、検疫法第2条1号・2号に掲げる感染症の病原体に感染したおそれのある者を停留し、また、検疫官に感染したおそれのある者を停留させることができる(検疫法第14条1項2号)」
検疫の目的は海外の感染症を日本に流入させるのを防ぐことで、命令を下すのは検疫所長だ。
日本で検疫が実施されるようになったのは、幕末の開国からだ。ペストやコレラなどが何度も流行した。1879年7月には「海港虎列剌病伝染予防規則」(のちに「検疫停船規則」と変更)が施行された。この規則は、戦後に検疫法に引き継がれ現在に至る(※このあたりにご興味がある方は、市川智生氏(横浜国立大学国際社会科学研究科)のレポートがお奨めだ<https://www.spf.org/opri/newsletter/172_2.html>)。
■「明治以来変わらない」方法は妥当なのか?
感染のおそれがあるものを水際で停留させるという検疫の方法は明治以来変わらないが、当時と現在では社会状況は大きく変わった。例えば、海外旅行をする人の数は激増した。2018年度の訪日外国人数は3,119万人、出国日本人は1,895万人だ。
訪日外国人でもっとも多いのは中国人だ。2018年は838万人が来日した。2014年の241万人から248%増加している。
多くは航空機を使う。上海から羽田・成田空港までの所要時間は3時間30分、関西国際空港までは2時間30分、福岡空港なら1時間40分だ。クルーズ船を利用した場合でも、横浜から上海には2泊3日で到着する。那覇・上海間なら約40時間だ。
感染症には潜伏期間がある。新型コロナウイルスは平均5.2日だ。最長24日間という報告もある。潜伏期間は無症状だから、検疫は素通りする。ダイヤモンド・プリンセス号のように感染者が確認されれば、乗員乗客は長期間にわたり、停留されることになるが、もしいなければ素通りだ。これでは潜伏期の患者を見落とし、何の意味もない。
■新型インフルでは113人の感染を見落とし、入国を許した
■イタリアでは「12時間後に乗客は解放されている」
■ダイヤモンド・プリンセス号の検疫は史上最大
■新型インフル感染者1人が鉄道に乗ると、5日で700人に
■1月に日本を旅行したタイ人夫婦が感染していた
■では、厚労省がすべきこととは?
■民間の検査会社は「毎日20万件以上の検査を受託している」
■「停留は正しかったのか」検証を
ダイヤモンド・プリンセス号に停留を命じているのは横浜検疫所長だ。現在、その任にあるのは医系技官の北澤潤氏だ。検疫所長は、感染者の人権を制限する絶大な権限を有する。権限は責任を伴う。ところが、北澤氏が停留の必要性について公に説明したことはない。
記者会見に応じるのは加藤勝信厚労大臣や厚労官僚たちだ。日本銀行の政策を財務大臣が説明するようなものだが、このことを問題視する人はいない。
こんな状況では誰もが無責任になる。ダイヤモンド・プリンセス号の検疫失敗は、医学の歴史に残る事件だ。世界に大きく報じられ、日本のイメージを悪化させた。東京五輪の開催にもマイナスの影響を与えただろう。
ダイヤモンド・プリンセス号の検疫は人類が経験したことがない大仕事だ。ところが、厚労省は、十分な情報を収集せず、大した覚悟もないまま停留を指示してしまった。今回の泥沼の事態は当然の帰結だ。今後、このような悲劇を繰り返さないためには、騒動が一段落した段階で、冷静に検証する必要がある。
2月13日 文春
https://bunshun.jp/articles/-/33856