「車内は走る密閉空間。ウイルスは防ぎようがない」「騒ぎで観光客も減り、二重の被害だ」。東京都内の男性タクシー運転手(72)が新型コロナウイルスに感染していたことが新たに判明し、同業の運転手からは口々に不安の声が上がった。
 
横浜市のJR関内駅前で客待ちをしていた個人タクシーの運転手法師人重さん(67)は「乗客の中にはアジア系やせきをする人もいて不安を感じるが、乗車拒否はできない。今はマスクや手洗いなどできることをやるしかない」と声を落とす。品薄だったエタノールスプレーがようやく手に入り、車内の消毒を心掛けているという。
 
「バス運転手が感染したと聞いたときに、いずれこうなると予想はしていた。政府の対応は後手後手だ」と憤るのは、大手タクシー会社の男性運転手(60)。「会社からマスクや消毒液の配布はなく、自己防衛するしかない。車内を換気し、中国人が多い場所には近づかないようにしているが、できれば終息するまで休みたい」と漏らした。
 
ホテル前で乗客を待つことが多いという個人タクシーの田中秀樹さん(65)は「観光客が減るだけでなく、自分が感染する恐れもある。ウイルス騒ぎは(タクシー業界にとって)二重の被害だ」と顔をしかめる。2日前にも中国人の2人組を乗せたといい、「やっぱり怖い。東京五輪までには終息してほしい」と話した。

2020年02月14日13時02分 時事通信
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