新型コロナウイルスの影響が拡大する一方、インフルエンザの流行は昨シーズンより少ない状況が継続しています。今シーズンの大きな特徴は、例年のピーク時期に患者数が増えなかったことです。

 厚生労働省がまとめた昨シーズンと今シーズンの定点あたりの患者報告数を比較すると、今シーズンは早い時期から流行が始まって12月までは昨シーズンを上回る報告数で推移しました。しかし、例年、患者数が急増する年末から年始に関してほとんど変化が見られず、1月20〜26日の報告数は約3分の1に留まっています。
.

ウイルス対策が功を奏す形に

 理由の一つとして考えられるのは新型コロナウイルスです。1月16日に日本で最初の感染者が確認されたこともあり、例年以上に手洗い等の対策が徹底して行われています。こうした対策はインフルエンザの予防と共通で、流行しやすい気象条件となった立春後の寒波の際も、患者数の増加は見られませんでした。

 今シーズンの累計の患者数は約695万人で、医療機関の状況等に違いがあるものの、昨シーズン同時期の約1108万人に比べ、400万人余り減少しています。


暖冬で「絶対湿度」が高く推移

 もう一つの大きな理由としては、暖冬傾向があると考えられます。

 インフルエンザウイルスの活動の目安として「絶対湿度の数値が低いほうが流行しやすい」とされています。

 そこで、今季の絶対湿度の変化を東京の例で見てみると、12月の終わりから1月いっぱいは昨シーズンよりも絶対湿度が大幅に高い状況でした。

 暖冬の今季は太平洋側を低気圧が通過しやすくなりました。そのため、1月の東京は日照時間が17年ぶりの少なさで、降水量が1年ぶりに100mmを超えるなど、例年のような乾燥した晴天が少なく、絶対湿度の変化に良く表れています。

 ただ、低調とはいっても、流行は依然として継続しています。また、今年はいつもの年と様々な条件が違うため、要因はいくつもあるかもしれません。今後も新型コロナウイルスだけでなく、インフルエンザへの警戒もしばらく続けるようにしましょう。

https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200229-00013719-weather-000-view.jpg
https://lpt.c.yimg.jp/amd/20200229-00013719-weather-001-view.jpg

2/29(土) 16:38配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20200229-00013719-weather-soci