「新幹線図書館」が閉館 昭島 市民ら名残惜しむ
2020年3月3日
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/202003/CK2020030302000144.html

https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/202003/images/PK2020030302100051_size0.jpg
開館最終日を迎えたつつじが丘分室。座席は現役時代のままだ

 「新幹線電車図書館」の愛称で親しまれていた昭島市の市民図書館つつじが丘分室が一日、開館最終日を迎え、二十八年の歴史を閉じた。本物の新幹線車両を活用した施設で、近くに新しい図書館がオープンするのに伴い閉館が決定。当初は今月二十七日まで開館する予定だったが、新型コロナウイルス対策のため前倒しされ、来館した市民らは名残を惜しんだ。 (原田悟)

 昭島市が、引退した東海道新幹線の初代「0系」の先頭車両(一九七三年製造)をJR東海から購入し、九二年に住宅団地の一角につつじが丘分室を開設した。市によると、九〇年、他市に電車の車両を使った図書館があるのを知った市民グループの要望をきっかけに、設置計画が具体化した。

 後部の扉から出入りし、デッキに貸し出しと返却のカウンターがある。座席を半分ほど外して本棚を置き、児童書を中心に約一万二千冊を所蔵。残りの座席は現役時代のままで、座って本を読める読書スペースになっていた。運転席にも上がって座ることができ、子どもたちや鉄道ファンの人気を集めていた。年間の利用者数は約二万人だった。

 最終日となった一日は、開館と同時に市民らが続々と来館した。職員と「きょうで最後なんですか」「残念だね」と言葉を交わし、車内の写真を撮る姿も目立った。

 近所に住む女性(45)は五歳の娘を連れて訪れ、「友人から閉館が早まると聞いて来ました。子どもが小さいころから通っていたので寂しい。市民が利用できる施設として残してほしい」と話した。

 今後の車両の活用方法は未定で、市民の意見を踏まえて検討していくという。
https://www.tokyo-np.co.jp/article/tokyo/list/202003/images/PK2020030302100052_size0.jpg