新型コロナウイルスの感染拡大を防ぐための休校を受けて、小学生向けの学習ドリルが異例の売れ行きとなっている。自宅学習用の購入とみられ、一部商品の在庫が払底する事態だ。

 出版取次大手の日本出版販売(日販)が3日に発表した週間ベストセラー(2月24日〜3月1日、文庫やコミックなどを除く)で、学習ドリルがトップ20のなかに5点入った。前週には1点もなく、売り上げが急増しているという。

 同社仕入部の奥田直樹さんによると、今回売れている学習ドリルは、学年ごとに一冊で国語や算数など1年間の学びをまとめて復習できるもの。例年、3月下旬の春休みが最も売れる時期で、3月上旬にトップ20に入るのは異例という。「家庭での自主学習用として、購入が増えているのではないか」と奥田さんは話す。

 トップ20に3点入ったのは、くもん出版の「総復習ドリル」シリーズ。小学2年向けが12位、小学1年向けが16位、小学3年向けが18位だった。同社によると、安倍晋三首相が臨時休校を要請した27日以降、書店から注文が急増。3日現在、同シリーズの小学1〜6年全ての商品で同社に在庫はないという。

 また、小学校では4月から新しい学習指導要領が始まり、教科書の内容が変わる。そのため「通常より在庫は少なめ」といい、現時点では、増刷の予定はないという。同社の営業担当者は「例年、在庫がゼロになることはない。異例の売れ行きです」と語った。

 「学研の総復習ドリル」(学研プラス)も19位に小学1年向け、20位に小学3年向けが入った。出版元の学研ホールディングスによると、売り上げは3日時点で、昨年の3月3週目よりも全学年で上回っているという。くもん出版と同様の理由で増刷を予定していないという。

 トップ100で見ると、文響社の「うんこドリル」シリーズや、文理の「全科まとめて」シリーズなども含めて、計17点のドリルがランクインしている。(宮田裕介)

2020年3月4日 10時30分
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