【毎日新聞が今の状況を解説】NY株、一時2000ドル超下落 取引が一時停止 なぜこうなった? 9日


NY株、一時2000ドル超下落 取引が一時停止
毎日新聞 2020年3月9日 22時49分(最終更新 3月9日 23時07分)


 9日の東京株式市場で日経平均株価は大幅に下落し、前週末比1050円99銭安の1万9698円76銭で取引を終えた。終値が2万円を割り込むのは2019年1月4日以来、約1年2カ月ぶり。東京外国為替市場では円高・ドル安が進み、円相場は一時約3年4カ月ぶりに1ドル=101円台まで急騰した。新型コロナウイルスの世界的な感染拡大と原油価格の急落でリスク回避の動きが一気に強まった。9日のニューヨーク株式市場では、ダウ工業株30種平均が前週末終値比で一時2000ドル超下落。同市場では取引が一時停止されるなど、世界の金融市場が大混乱に陥っている。


 欧米で新型コロナウイルスの感染者数が急増し、米ニューヨーク州が7日に非常事態宣言を出したほか、イタリア政府は8日、ミラノなど北部地域の広範囲で移動制限措置をとると発表した。アジアだけでなく欧米でも企業活動などが縮小し、世界経済が失速するとの観測が強まった。

 また、ニューヨーク原油先物が8日の時間外取引(日本時間9日)で急落。前週末の産油国の減産協議が決裂し、サウジアラビアが増産すると伝わったためで、指標となる米国産標準油種(WTI)の4月渡しは、前週末終値の41・28ドルから一時1バレル=27ドル台まで値を下げ、16年2月以来約4年ぶりに30ドルを割り込んだ。

 投資家のリスク回避姿勢が強まったことから、9日の東京株式市場は取引開始直後から売り一色となり、日経平均は一時1200円以上下落。終値の下げ幅は18年2月6日(1071円84銭)以来の大きさとなった。東京外国為替市場では、比較的安全な資産とされる円を買う動きが急ピッチで進行。一時、16年11月以来となる1ドル=101円台半ばをつけた。前週末午後5時時点に比べて4円以上の円高水準となり、輸出関連銘柄を中心に株売りに拍車をかけた。

 9日のアジア市場でも軒並み株売りが進んだほか、同日の欧州市場でも株価が急落して取引が始まり、イタリアの主要株価指数は前週終値比で10%超下げた。ニューヨーク株式市場も全面安の展開となり、ダウ平均が急速に値を下げた。【三上剛輝】