小高区の避難者訴訟 2審は減額

http://www3.nhk.or.jp/lnews/fukushima/20200317/6050009373.html
※NHKローカルニュースは元記事が消えるのが早いので御注意を

福島第一原発の事故で避難指示を受けた南相馬市小高区などの住民300人あまりが
東京電力に賠償を求めた集団訴訟で、2審の東京高等裁判所は、
生活基盤が著しく変わったことによる慰謝料を認めたものの、1審よりも少ない、
1人あたり100万円とする判決を言い渡しました。

南相馬市小高区などの住民316人は、避難指示を受けて避難を余儀なくされた上、
ふるさとで生きる権利を奪われたなどとして、国の指針を元に支払われた
1人あたり850万円に加えて、1800万円あまりの慰謝料を増額するよう東京電力を訴えました。

1審の東京地方裁判所は、1人あたり300万円の慰謝料の支払いを命じ、双方が控訴していました。

17日の2審の判決で、東京高等裁判所の村田渉裁判長は、避難生活に対する慰謝料については、
国の指針を元に支払われた850万円を超える部分は認められないと判断しました。
その上で生活基盤が著しく変わったことも慰謝料の対象と認めながらも、
「全員に共通する慰謝料である以上、影響の少ない避難者を想定した水準にとどめざるをえない。
帰還困難区域と異なり、帰還自体は可能だ」などとして、
1審よりも少ない1人あたり100万円の慰謝料など、あわせて3億6300万円の支払いを東京電力に命じました。

原発事故の被害をめぐる集団訴訟の2審の判決は、今月12日の仙台高裁に続いて2件目で、
いずれも東京電力に賠償を命じる判決が言い渡されています。

判決のあと、訴えを起こしていた住民側が東京・霞が関で会見を開きました。
この中で、住民の代理人を務める弘中惇一郎弁護士は
「大変残念で、ひどい判決だ。全員に共通する部分の被害しか認めないと判断されると、
集団で裁判を起こす意味がない」と述べました。
また、原告団の代表の江井績さん(79)は「原発事故で強制的に避難させられ、
家族がバラバラになり、人生が奪われた。被害の実態が判決に反映されていない。大変残念だ」
と話していました。

東京電力は「判決内容を精査し、対応を検討して参ります」とコメントしています。

03/17 16:57