【AFP=時事】
新型コロナウイルスの感染流行が世界的に拡大する中、東京五輪を予定通り開催することに対する疑問や反対の声が日本国内で高まっており、開催を強行して人命を危険にさらしてはならないと訴える声すら聞かれている。

安倍晋三(Shinzo Abe)首相や国際オリンピック委員会(IOC)のトーマス・バッハ(Thomas Bach)会長ら関係者は、7月24日の開会式実施に向けて準備を進めるべきと繰り返し強調している。

しかし、英サッカーのイングランド・プレミアリーグや米プロバスケットボール(NBA)が中断され、日本国内の多くのスポーツイベントも開催不可能な状況となっており、米国のドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領すら東京五輪開催延期に言及している。

日本国内の新型コロナウイルスの死者は24人、陽性者は814人と、比較的少ない人数にとどまっている。ただ、都内では海外から押し寄せる観客に対する不安の声も聞かれた。

IT企業の社員だという27歳の男性は、AFPの取材に対して「この状況だと正直、日本だけが回復したとしても世界から人が来ないと思うので、やめたほうがいいんじゃないかなとは思う」
「人の命にはかえられないかな」と述べ、完全な中止とは言わないまでも、延期が妥当ではとの考えを示した。

日本の世論は五輪中止に傾いているようだ。NHKが今月6〜9日に行った世論調査では、東京五輪が予定通り開催できると思うかとの問いに対し、45%ができないと思うと回答。できると思うは40%だった。

また、共同通信(Kyodo News)が16日に発表した1000人以上を対象とした調査では、回答者の69.9%が予定通り開催できないと思うと答えた。

■戦争中以外で感じたことのない不安

賭けのオッズも、開会式が7月24日に開かれない方に人気が急激に傾いている。英ブックメーカー(公認賭元業者)大手パディー・パワー(Paddy Power)のオッズでは予定通りの開催が5倍となっており、開催延期を上回っている。

五輪会場の大半は予定よりかなり早く準備が進んでおり、その対応には称賛の声も集まっていたが、順調に準備を進めてきた関係者にとっても、観戦チケット購入に殺到した市民にとっても、五輪中止は悲痛な決定となるだろう。

日本で最も人気のあるスポーツ、野球のチケットを購入済みだという男性(47)は「一生に一度あるかないかだし、子供にも絶対見せたい」と語ったが、「もし行って何か悪影響になるんだったら、やめた方がいいかなとは思う」と苦しい胸の内を明かした。

今年90歳だという男性は、新型コロナウイルスの影響の大きさについて「今までかつてない。生まれて90年近いが、戦争中以外でこのようなことを感じたことはない」と不安を口にした。【翻訳編集】 AFPBB News

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3/17(火) 18:34配信