https://news.yahoo.co.jp/byline/iizukamakiko/20200323-00169222/
 感染が我が身に迫っている危機感に襲われているからだろうか、ジョンズ・ホプキンス大学が出す、新型コロナウイルスによる
感染者数や死者数の集計を確認することが、筆者の朝の日課になっている。

集計は、アメリカでの感染者数の急増を示している。3月21日は前日20日より約7000人も感染者数が増えていた。
検査数が増加しているから感染者数が増えるのも当然ではあるが、このペースで増えて行けば、イタリアの感染者数を超えるのは時間の問題かもしれない。
それに、最近、救急車の音が以前よりも頻繁に聴こえてくるようになったのも、とても気になっている。

外出禁止令はカリフォルニア州に続き、ニューヨーク州、ニュージャージー州、コネチカット州、イリノイ州、オハイオ州、ルイジアナ州、デラウェア州でも出され、
全米の3分の1にあたる1億100万人の人々が外出禁止の対象となっている。
トランプ氏は、ニューヨーク州に対しては「大規模災害宣言」も行ったが、同様の宣言はカリフォルニア州やワシントン州に対しても行われる可能性があるという。

■感染者数予測は様々
アメリカでの新型コロナによる感染者数については、様々な予測が行われている。
米紙ニューヨーク・タイムズ(電子版)は、コロンビア大学の研究者の分析に基づき、今後2カ月で感染者が65万人に上る可能性があると報じた。
ジョンズ・ホプキンス大学のマーティー・マカリー教授は「米国内では、5万〜50万人の感染者が歩き回っている」と話している。
国立アレルギー感染症研究所(NIAID)所長のアンソニー・ファウチ氏は「思い切った封じ込め策を取らなければ、感染者数は数百万人に達する」という見解を示した。
アメリカの感染者数は最大9600万人に達すると推定している学者もいる。
CDCは、対策を講じない限り、感染者数は1億6000万人から2億1400万人になるというシナリオもたてている。

■医療崩壊を懸念
検査数が増えて感染者数が増大する中、アメリカでは、今、医療用マスクや人工呼吸器、ベッドなどが不足し始めており、医療崩壊が危惧されている。
特に、ニューヨーク州やカリフォルニア州、ワシントン州など感染者数が多い州は、医療器具の不足が深刻化している。

※略

■検査拒否され、死亡か
しかし、問題は、検査を受けらなかったために、重篤化して死亡した人も出てきていると考えられることだ。
ロサンゼルスのCBSテレビが、3月20日、とても悲しいニュースを報じた。
LA郊外のサン・ガブリエル市に住むフリオ・ラミレズさん(43歳)は、国内旅行から帰宅後、発熱、筋肉痛、空咳など風邪のような症状を見せ始めた。
機内で隣に座っていた乗客が咳をしていたという。
基礎疾患はなく、病気にもかかったことがない健康体のフリオさんだったが、9日、受診に行こうと病院に電話。
しかし、医師は電話で、タミフルと風邪薬を処方しただけだった。11日、フリオさんは再び病院に電話したが、返事はなかった。
13日、呼吸困難に陥ったフリオさんは、妻のジュリーさんに車椅子に乗せられ、緊急治療棟に行った。
そこではレントゲン撮影をされ、結果が伝えられることにはなったものの、結局、医師からは診察されず、新型コロナの検査もされなかったという。
フリオさんは16日朝、亡くなった。

「病院側は、車椅子に乗った呼吸困難な夫を目にしたら、診察すべきだった」
とジュリーさんは涙ながらに訴えている。
フリオさんが感染していたかは不明だ。検視局は、病院側が死因を肺炎と断定したため、検視を行わないという。
そのため、ジュリーさんは夫が新型コロナで亡くなったか、独立機関で検査してもらうという。

フリオさんのようなケースは、氷山の一角ではないのか。検査を受けられず、新型コロナが原因なのかわからぬまま、命を落としていく人々。
そうならないためにも、誰もが等しく検査を受け、治療を受けられるよう、リソースが拡充されなけばならない。
ロサンゼルスでは、前記したように、閉鎖されていた地域病院が再開されたり、ホテルが感染者のために客室を提供したりする動きがあるが、
今は、地域ぐるみでリソース拡充を図り、新型コロナと闘う時なのだ。