金融庁の森信親前長官が米保険大手アフラック・インコーポレーテッドの社外取締役に就任することが24日、わかった。5月4日に開催する株主総会の決議を経て、正式に就任する。

森氏は2015〜18年に金融庁長官を務めた。在任中は金融機関を厳しく監督・処分する従来の金融行政を改め、顧客本位の業務運営を徹底するよう金融機関に求めていた。

米アフラックは日本のアフラック生命保険の親会社だ。日米を中心に事業展開しており、売り上げの7割、利益の8割を日本で稼いでいる。日本郵政が米アフラック株の取得を進め、郵便局ネットワークでがん保険の販売を手掛けるなど関係を深めている。

森氏は「金融育成庁」の旗を掲げ金融行政改革を率いた大物長官だけに、その手腕を民間でどう生かすか注目されそうだ。アフラック生命は森氏の就任について「広範で専門的な金融、経済および規制などに関する知識と経験を有しており、アフラックの事業運営に不可欠で重要な洞察をもたらすことを期待している」とコメントした。

金融庁幹部が退職後にアフラックの経営に関与したケースは今回が初めてではない。金融庁長官を経て、ゆうちょ銀行の社長を務めた高木祥吉氏は、10年にアメリカンファミリー生命保険(現アフラック)の特別顧問に就いた。アフラック生命は、いずれも金融庁幹部から日銀理事を経験した木下信行氏と桑原茂裕氏も迎えている。桑原氏は20年にアフラック生命の副会長に就いた。

2020/3/24 16:46
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO57162340U0A320C2EE9000/