https://www.bbc.com/japanese/features-and-analysis-52032347


【解説】 東京五輪、ぎりぎりのタイミングでなされた正しい決断
2020年03月25日

トム・フォーダイス、BBCチーフスポーツライター

オリンピックではある瞬間が訪れる。開会式後のある時点で、ドラマや記録更新、新たなヒーロー誕生の話題で持ちきりになるころ、周囲を見渡してこう思う。地球上の1マイル(約1.6キロ)四方ほどの場所で、これほど多くの人の注目を集めているのは他にない。

それが夏のオリンピックだ。まるで世界の中心にいる気分にさせてくれるのだ。そしてこれが、国際オリンピック委員会(IOC)が2020年東京五輪の延期を決めるのにとても長い時間がかかった理由であり、他の決定はあり得なかった理由だ。

IOCは、オリンピックという複雑で費用がかかり、虚栄心に満ちたイベントを実行してきた歴史と力、自負心がある。その同じ性質が、周囲の関係者たちとのずれを生むこともある。世界の国々から言い寄られ、懇願されるのには慣れているが、その反対には慣れていない。

オリンピックとパラリンピックは金融危機のさなかでも、テロリストの残虐行為の後でも、政府が溶解した状態でも開催されてきた。企業からのお金があるからだけでなく、その中心となる訴えに不朽の純粋さもあるから前進が可能だった。その訴えとは、大会は世界中の若者を一堂に集めるし、彼らが家族や友人、それぞれの国の人たちを一緒に連れてくるというものだ。
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