首相、議運委質疑なら45年ぶり 新型コロナ緊急事態宣言の国会報告

新型コロナウイルスの感染がさらに深刻化し、安倍晋三首相が緊急事態宣言の発令を決断した場合、首相は事前に衆参両院の議院運営委員会に出席し、報告を行うことになる。かつては外交や内政の重大案件で首相自らが議運委で説明することは珍しくなかったが、近年では絶えて久しく、安倍首相が議運委で質疑に応じることになれば、45年ぶりのこととなる。

議運委は本会議日程や提出法案の取り扱いなど、国会全体の運営を所管。常任委員会の中でも重い位置付けで、慣例的に正副議長が同席。委員長は閣僚と同格とされる。
 
議運委に首相が出席し質疑を行った最後の例は、1975年10月。三木武夫首相が衆参の議運委に出席し、仮谷忠男建設相が自民党青森県連の会合で「国会答弁のようないいかげんなことは言わない」と発言したことを陳謝し、「内閣全体として深く戒めたい」と述べた。
 
71年10月には佐藤栄作首相が日米繊維交渉の経過を報告。60年には安保闘争デモが激化する中、岸信介首相が国会周辺のデモを警察権で規制することの是非について見解を問われた。
 
安倍政権下では、2017年6月に天皇退位の特例法案提出を受け菅義偉官房長官が衆院議運委に出席し、質疑を行ったこともあるが、首相自身が議運委に呼ばれるようなことはなかった。
 
半世紀近くも議運委での首相質疑がなかったことについて、衆院の担当者は「その時々の判断」と説明するが、理由は判然としない。
 
国会への事前報告は、改正新型インフルエンザ対策特別措置法の付帯決議に明記されており、自民党と立憲民主党は1日の国対委員長会談で、首相が発令を決めた際には首相自らが衆参の議運委に報告することを確認した。これに関し、自民党国対幹部は「議事録も残せるし、正副議長も出席する正式な場だ」と強調。1時間程度の質疑を行う方向で調整しており、野党側は幹部級を出席させ、首相に見解をただす方針。

2020年04月04日13時38分
https://www.jiji.com/jc/article?k=2020040400182&;g=pol