新型コロナウイルスの感染確認からわずか6日で死去したタレントの志村けんさんは、愛煙家で知られた。喫煙は重症化リスクを高めると指摘されており、くまもと禁煙推進フォーラム副理事長を務める「たかの呼吸器科内科クリニック」(熊本県八代市)の高野義久院長(56)に禁煙の必要性や正しい感染予防法を聞いた。(福井一基)

−なぜ、喫煙が重症化リスクを高めるのですか。

 「コロナウイルスがヒトの細胞に入る際、細胞表面にあるACE2というタンパク質が受容体(受け取り役)となる。ニコチンを摂取するとACE2が増え、ウイルスを取り込みやすくなるという説がある」

 「そもそも喫煙は気管支や肺に長年にわたりダメージを与え、免疫力を弱める。そこにウイルス感染すれば、重症化の危険性が高まる」

 −禁煙で重症化リスクを低減できますか。

 「喫煙者の重症化リスクは非喫煙者の2・4〜14倍、死亡リスクは3倍と報告されている。新型コロナウイルスを含めた呼吸器感染症はたばこの影響を大きく受け、禁煙すればその影響を低減できるだろう。ほかの疾患の治療や予防でも禁煙は重要だ」

 「喫煙所はまさに密閉、密集、密接の『3密』。そこにいるだけでも感染リスクは高まる」

 −新型コロナで注意すべき点は何ですか。

 「新型コロナの怖さは感染力の強さとともに、少なくとも10人に2人が肺炎を合併することだ。インフルエンザや麻疹[ましん]など、ほかのウイルス感染症でもこれほど高い肺炎合併率はない」

 「肺炎を合併すれば重症化や死亡リスクが高まる。新型コロナを季節性インフルエンザのようなイメージで見ないことが大事だ」

 −感染予防で特に注意することは何ですか。

 「多くの人が意識していないが、顔を守ることだ。頻繁に手で顔を触る人がいるが、ウイルスは目や鼻、口を通して侵入する。汚染された手で触れば危険。顔を触らなくなるという意味でもマスクは効果がある」

 「頻繁に手を洗う、利き手であちこち触らない、換気を徹底する。目の前でくしゃみをされたら息を吐きながらその場から離れるなど、あらゆる手を尽くして感染防止に努めてほしい」

4/12(日) 14:07配信
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