体内でインスリンが作られず発症する1型糖尿病について、群馬大や理化学研究所(理研)などの研究グループは、特定の寄生虫が腸内にいるマウスで、発症が抑えられることが分かったと発表した。寄生虫が分泌するトレハロース(糖)が特定の腸内細菌を増やし、この細菌が1型糖尿病を抑える免疫細胞を増加させたとみられる。

◎トレハロースを分泌 免疫細胞を増加

 グループはこの仕組みが人体にも当てはまるとみている。1型糖尿病の治療はインスリン注射が一般的だが、免疫細胞を増加させる仕組みが分かれば、より負担の少ない飲み薬などの開発につながる可能性があるという。

 グループによると、腸管寄生虫を感染させたマウスで1型糖尿病を再現したところ、血糖値の上昇が抑えられた。1型糖尿病に特徴的な膵臓(すいぞう)のダメージも見られなかった。

 分析すると、マウスで特定の腸内細菌が増加していることが分かった。寄生虫が分泌するトレハロースが、何らかの理由で腸内細菌を増やしていた。さらに、この細菌が1型糖尿病発症のブレーキ役となる免疫細胞を増加させたとみられる。

 1型糖尿病は体内でインスリンを分泌する膵臓が自己の免疫細胞によって破壊され、高血糖が引き起こされる病気。小児を中心にさまざまな年代で発症する。生活習慣病の2型糖尿病とは異なる。

 理研の大野博司チームリーダーは「免疫細胞を増やす仕組みを詳しく明らかにすることで、新たな治療や予防法の開発につながる可能性がある」としている。研究成果はオンラインの科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に掲載された。

上毛新聞
4/23(木) 6:02
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