新型コロナウイルスの影響で、在日外国人らが利用するモスク(イスラム教礼拝堂)やヒンズー寺院などの宗教施設が集団礼拝や集会などを取りやめている。こうした施設は密閉・密集・密接の「3密」になりがちで、海外でも大規模な集団感染が発生しているためだ。イスラム教徒は4月24日前後から約1カ月の断食月(ラマダン)を迎える。日没後に大勢で食卓を囲む機会が増えるが、今年は自粛を迫られそうだ。


 国内最大規模のモスク・東京ジャーミイ(東京都渋谷区)。普段は数百人が集まるという金曜礼拝の時間に訪ねてみると、集まっていたのは15人ほどだった。マスク姿で礼拝していたウズベキスタン人留学生、スブホンゾーダ・ダレルさん(25)は「週に1度はモスクで礼拝したかったので来た。早くコロナがなくなるよう祈った」と話した。

 東京ジャーミイでは3月以降、集団礼拝やコーランを学ぶ講座などをすべて中止し、来訪者が激減。修学旅行などの見学申し込みもキャンセルが相次いだ。

 影響はラマダンにも及ぶ。ラマダン中は日没後、家族や友人で集まりイフタールと呼ばれる断食明けの食事を楽しむ習慣がある。東京ジャーミイでも期間中、トルコ料理500食を用意して来訪者に振る舞うのが通例だが、今年は取りやめた。イマーム(宗教指導者)のチナル・ムハンメット・リファットさん(37)は「イスラム教は健康を大切にする宗教。この状況は悲しいが、感染リスクを考えて中止した」と説明する。

 キリスト教も4月12日、普段とは違うイースター(復活祭)を迎えた。カトリック東京大司教区によると、国内にも数百人規模が集まる教会があるが、今年はミサを映像配信する形に切り替えた。司祭に罪を告白する「ゆるしの秘跡」も、狭い個室ではなく、会議室などの換気ができる部屋で互いにマスクを着けて行うようにしているという。

 江戸川区のヒンズー教寺院も3月から閉鎖している。毎週日曜日には150〜200人程度の信者が集まり儀式を行っていたが、今は寺院に住む聖職者が祈りを行っているだけだ。寺院を管理するケーシャブ・アーナンド・ダースさんは「インドでも全土でロックダウン(都市封鎖)が行われており、閉鎖は仕方ない。信者は自宅でコロナの終息を祈っている」と語る。

 新型コロナは韓国の新興宗教団体やマレーシアのモスク、インドの聖廟(せいびょう)などで集団感染が発生。イタリアでは聖職者が感染して死亡するケースも相次いでいる。【金子淳】

4/23(木) 11:14配信
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