日本プロサッカーリーグ(Jリーグ)が三菱UFJ銀行と商工組合中央金庫に対して、コミットメントライン(融資枠)の設定を含む計200億円強の融資を要請したことが明らかになった。新型コロナウイルスの感染拡大でリーグの開催延期が続くなか、クラブ支援などの資金を予防的に手当てする。特に中小のクラブでは観戦収入の激減で資金繰りが課題となっていた。


三菱UFJ銀とは200億円前後の融資枠の設定で調整している。事業環境の一段の悪化に備え、迅速に調達できる枠を拡充する。商工中金は数十億円を融資する見通し。1993年に創立したJリーグが金融機関からまとまった額を借り入れるのは初めてとみられる。

Jリーグには財務基盤が弱いクラブも多い。J1のサガン鳥栖は2020年1月期の純損失が20億円と、2期連続の赤字となった。下部のJ2、J3のクラブはさらに経営環境が厳しく、収入の柱の1つである観戦チケットやグッズの販売が滞ったことで資金繰りに悪影響が出ている。

Jリーグは15日にクラブへの融資制度で、借り入れ上限額を引き上げたり、返済期日を延ばしたりする特例措置を発表した。金融機関から新たに調達した資金はこうした支援に充てるとみられる。

Jリーグ自体の先行きにも不透明さがある。Jリーグの経常収益の約65%は放映権収入が占める。動画配信サービスのDAZN(ダ・ゾーン)と17年からの10年間で約2100億円の大型契約を結んでおり、このまま試合が開催できなければ契約額の減額につながる懸念がある。他のプロスポーツでも大会やリーグの中止・延期が相次いでおり、収入が絶たれる競技団体は多い。

日本経済新聞2020/4/28 16:06
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO58582220Y0A420C2EE9000/