パナソニックの業績が急減速している。18日発表した2020年3月期決算(国際会計基準)は3年ぶりの減収減益だった。「稼げる会社の形」を模索していたところに、米中貿易摩擦や新型コロナウイルスが立ちふさがり、先行きはさらに見通せなくなった。

 売上高は前年比6・4%減の7兆4906億円。家電や住宅設備など五つある事業部門すべてが減収だった。主力の家電は国内こそ洗濯機や冷蔵庫が堅調だったが、海外ではブランド力の低下が著しい。特に欧州ではテレビやデジタルカメラが売れず、収益を大きく押し下げた。住宅設備は子会社のパナソニックホームズをトヨタ自動車との合弁会社に移したため、事業そのものが縮小。さらに力を入れる中国市場では、照明の売れ行きも悪かった。

 その中国では米中貿易摩擦にコロナが重なり、「二重苦」の様相だ。工場の設備投資が落ち込み、産業用機械や電子部品の販売が低迷している。中国から調達する部品もコロナの影響で滞り、エアコンや洗濯機の生産に支障が出た。

 さらに苦戦しているのは自動車部品だ。就任9年目に入る津賀一宏社長の肝いりの事業だが、赤字額が前年の4倍近い466億円に膨らんだ。米電気自動車(EV)大手テスラ向けの北米の電池工場は、昨秋にようやく黒字化したが、コロナで一時稼働停止を迫られた。

 テスラとの関係もぎくしゃくしている。2月には中国の電池大手CATLがテスラの上海工場に電池を納入すると発表。これでパナソニックの「独占供給」が崩れることになる。米国内での太陽電池の共同生産も停止が決まった。電機業界に詳しい早稲田大学の長内厚教授は「テスラとの協業はパナソニックの片思いだった可能性がある。技術が優れていても、ビジネスで成果を出せないのは経営の問題だ」と指摘する。

 20年3月期はコロナの影響は…
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