2020/6/24 18:22

中国国防省の呉謙報道官は24日の記者会見で、中国とインドの国境近くの係争地で両軍が死傷者を出した問題について「衝突の責任は完全にインド側にある」と述べた。「お互いが認識する実効支配線の中国側で発生した」と話し、インド軍が越境したと主張した。会見の概要を同省が発表した。

呉氏は中国軍がインドに近いチベット高原で実弾射撃などを含む総合的な軍事訓練をしているとも明かした。インドへのけん制とみられる。

両軍は15日に衝突。22日には両軍の司令官が話し合い、中国外務省の趙立堅副報道局長は23日の記者会見で「事態の沈静化に向けて必要な措置をとることで一致した」と説明していた。呉氏の発言はぎくしゃくした両国関係を改めて露呈した。

ヒマラヤ山脈などで接する中印間では約3000キロメートルにわたり国境が画定していない。両軍の15日の衝突ではインド側が20人の死者を出した。中国側は死者数を明かしていない。

中印係争地域での武力衝突で死者が出たのは45年ぶりで、1962年の中印国境紛争以来の危機を懸念する声がなおくすぶっている。

中印の衝突を巡り、ロシアのラブロフ外相は23日、中国の王毅(ワン・イー)外相、インドのジャイシャンカル外相と電話協議した。ラブロフ氏は協議後の記者会見で「中印で相互に受け入れ可能な解決に向けて(国境問題の)協議を続けている」と話した。中印ロの国防当局による協議を年内に開く方向だ。

ソース https://www.nikkei.com/article/DGXMZO60734740U0A620C2910M00/