7/11(土) 11:55
河北新報
 
 宮城県は10日、県立高の普通教室へのエアコン設置率が低い現状を踏まえ、段階的な整備に着手する方針を固めた。県議会主要会派の改善要求を受け、方針転換する。財源には国の新型コロナウイルス対策費の一部を活用。総額100億円規模の2020年度一般会計補正予算案に関連費用を盛り込み、21日開会の県議会7月臨時会に提出する。設置は早くても21年度以降となる見通し。

 関係者によると、自治体が新型コロナ対応に柔軟に活用できる国の地方創生臨時交付金を財源に想定する。今回の計上分だけでは全校分を賄えず、今秋以降、予算確保の在り方を検討する。設計などに時間がかかるため、本年度は設置できない見込み。

 文部科学省の19年9月時点の調査によると、県立高の普通教室へのエアコン設置率は3.6%。北海道(0%)、青森県(1.7%)に続き全国で3番目に低く、全国平均の83.5%を大きく下回っている。

 県議会では数年前から問題視する意見が相次いでいた。新型コロナによる臨時休校のあおりで夏休みが短縮され、今年は猛暑の中での授業が予想される。直近の6月定例会でも与野党の議員が生徒の健康や学習への悪影響を指摘した。

 定例会最終日の今月6日には、最大会派自民党・県民会議と公明党県議団、21世紀クラブが村井嘉浩知事に未設置校への早期整備を要望。消極姿勢だった村井知事は「重く受け止める」と再検討の方針を表明した。県政与党3会派の直談判が、重要な判断材料になったとみられる。

 補正予算案ではこの他、新型コロナの影響で売り上げが激減した公共交通事業者への支援策を講じる。サプライチェーン(部品の調達・供給網)の生産拠点を国内に整備する企業に対し、国の補助金に上乗せする県独自の支援枠を拡充する。

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