7/14(火) 20:59
毎日新聞
冠水工場、完全復旧めど立たず ホームセンターやコンビニの休業も続く 九州豪雨
大雨で冠水したホームセンター前では、店内から散乱した商品があふれた=大分県日田市で2020年7月7日午後4時28分、飯田憲撮影
 九州各地の大雨は、被害発生から10日がたった。被災した工場や店舗では急ピッチで復旧が進むが、断続的に降り続く雨などで一部の地域では再開が難航。工場の停止や店舗の休業が続いている。【久野洋】

 浸水によって4日に火災が起きた東海カーボン田ノ浦工場(熊本県芦北町)は完全復旧の見通しが立っていない。工場全体の冠水はほぼ解消し、一部で操業を再開。8月下旬には大部分が復旧する見通しだが、焼損した黒鉛化炉1棟の復旧時期は未定だ。グループの他の工場で代替加工できるため、半導体などに用いる黒鉛材の供給に問題はないという。

 福岡県大牟田市でも6日以降の大雨で三井金属のセラミックス事業部やグループ会社の工場が冠水。断続的に続く雨のため、操業再開に必要な設備の点検に時間がかかっている。めがねレンズの原料を手がける三井化学大牟田工場も電気設備が浸水。7月中旬の復旧を目指して作業を続けている。

 九州電力は4日以降、大分、熊本両県の計7カ所の水力発電所で浸水や土砂流入があり、発電を停止している。復旧時期は未定。肥後銀行も熊本県人吉市などの市街地冠水で店内が被災し、3店が休業している。

 被災地域の暮らしを支えるスーパーやコンビニエンスストアは急ピッチで復旧が進むが、14日現在でセブン―イレブンが福岡県で3店、ローソンが熊本、福岡、大分県で6店、ファミリーマートが熊本、福岡県で4店、休業を続けている。ホームセンターのコメリは浸水した2店を一時休業。うち「ハード&グリーン芦北店」(芦北町)は復旧が8月上旬までかかる。

 ◇銀行はATM載せた移動店舗車を被災地派遣

 九州の豪雨被災地に対し、地元企業も支援に乗り出している。

 九州フィナンシャルグループ(本社・熊本市)は、傘下の肥後、鹿児島両行の移動店舗車や現金自動受払機(ATM)を乗せた車計3台を派遣し、熊本県人吉市で現金引き出しに応じている。両行や福岡銀、西日本シティ銀は、被災者を対象に個人ローンを通常より低利で提供する。

 介護施設を運営するウチヤマホールディングス(北九州市)は、被災した高齢者の無償での受け入れを表明。ミスターマックス・ホールディングス(福岡市)はチャリティーグッズの売り上げと同社の支出を合わせた1000万円の義援金を寄付。ソラシドエア(宮崎市)は乗客に対してマイルでの寄付を呼びかけている。

 このほか、コカ・コーラボトラーズジャパンは熊本県などに飲料水を無償提供。コンビニ各社も食品などを災害協定に基づき被災地域に届けた。

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