>>780 つづき

論文のタイトルが示すように、研究者は大麻には悪影響がある、と言う前提に基づいて研究している。
しかし大麻には確実に、うつ病、不安、ストレス軽減効果があった。
ここで問題になるのは、本当に継続的な大麻使用はうつ病を悪化させるのであろうか?

大麻使用とうつ病の因果関係を証明した研究論文はない。
20年以上の長期使用者であっても、うつ病発症率は非使用者と同じであった。
WHOは、うつ病と大麻使用(自己投薬)の関係は『偽の相関関係』であると述べている。

それでは何故、論文の著者は以下ように述べているのだろうか?

>うつ病を治療するために大麻を使用することは、時間の経過とともにうつ病を悪化させるようである。
>継続して使用すると、『うつ症状のベースライン』が経時的に悪化する可能性がある。

著者はうつ病悪化と大麻との因果関係を示していない。
また、悪化したのは、『うつ症状のベースライン』だと述べている。

『ベースライン』とは、治験薬を投与する直前の時点の各種データの事である。
つまり、既にうつ病に掛かっていた人の『ベースライン』が悪化した。

これには幾つかの交絡因子が考えられる。

即ち、『単なる経年変化による悪化』、『大麻以外の医薬品または薬物使用による悪化』、
または、うつ病患者は自己治療治療として大麻を使用して医師やカウンセリングを受けずに、
うつ病を悪化させたと言う『逆因果関係』または『偽の相関関係』。

(つづく)