神戸有数の夜景スポットとして知られる摩耶山掬星台(きくせいだい)(神戸市灘区摩耶山町)の周辺道路で、週末や祝日の夜を中心に乗用車の渋滞や路上駐車がやまず、苦情が相次いでいる。新型コロナウイルス対策で「3密」を避けようと、カップルや家族連れが山上に集まり、近くのホテルでは宿泊客が渋滞に巻き込まれて到着が遅れたり、従業員のマイカーが車列に遮られて帰宅できなかったり。事態を重く見た兵庫県警は違法駐車の一斉取り締まりを始めた。(坂井萌香)

星を「掬(すく)える」と表現される掬星台。北海道函館市の函館山、長崎市の稲佐山とともに「日本三大夜景」に数えられ、神戸や阪神間の夜景を一望できる。

ただ、併設の駐車場はなく、車で訪れる人は徒歩で10分ほどの駐車場(85台)を利用する。夜道で初めて訪れた人たちは、さらに先に駐車スペースがあると思って進入するが、行き止まりとなり車が滞留。このため、掬星台近くの路上で車を止め、夜景を見に向かう人が後を絶たなかった。

現地を管轄する灘署によると、今年6月以降は毎日のように苦情が寄せられ、20台以上の路上駐車が確認された日も。8月のお盆の時期は深夜まで人が滞在し、駐車場が空くのを待つ車も含めて、市道で約120台が渋滞したという。

最も迷惑しているのが、掬星台と駐車場との中間に位置するホテル「オテル・ド・摩耶」だ。責任者の男性(44)は「泊まりのお客さまが渋滞に巻き込まれ、チェックインが大幅に遅れてしまう。従業員も帰宅時に車を出せず、車が減るのを1時間ほど待ちます」とお手上げの様子。ホテル出入り口に路上駐車された車を移動してもらうため、ドライバーを捜しに掬星台まで走ることもあるという。

車での訪問者も戸惑いを口にする。今月4日夜、大阪府茨木市から訪れた男子大学生(22)は「3カ月ほど前に初めて来たけど、もっと近くまで車でいけると思っていた。最初は駐車場が分からなかった」と苦笑いする。

苦情を受け、兵庫県警交通指導課と灘署は8月30日夜、違法駐車の一斉取り締まりを実施。駐車場の利用を促すチラシをドライバーに配り、その後もパトロールを続けている。

9/10(木) 20:04 神戸新聞NEXT
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