中国を中心に生活雑貨チェーンを展開する「名創優品(MINISO)」が間もなくニューヨーク証券取引所に上場し、
創業者の保有資産は数倍に膨らむ予定だ。

2013年創業のMINISOの事業コンセプトは、報道によると「日本デザイン・中国製造・グローバル発信」であるとされている。
同社は、日本の100円ショップの販売スタイルをベースに、ユニクロや無印良品のテイストを加えた店舗運営で知られている。

80カ国以上の国々で4200以上の店舗を構えるMINISOは、1.5ドルのマスカラや6ドルのヘッドフォンなど、安価な家庭用グッズを販売している。
2018年に中国のテンセントから10億元の出資を受けた同社の株式は、10月15日からニューヨーク市場で売買が開始される。

上場目論見書によると、MINISOは一株16.5ドルから18.50ドルのレンジで3040万株の米国預託株式を販売することにより、
最大5億6240万ドル(約592億円)を調達しようとしている。

発行株式の65%を保有する創業者の葉国富(Ye Guofu)の保有資産は、フォーブスの試算で33億ドル以上に膨らむことになる。

IPOによって調達した資金を、MINISOは店舗の拡大やロジスティクスの整備に注ごうとしている。新型コロナのパンデミックにより一部の店舗は閉鎖され、
今年6月までの1年間の同社の売上は前年比4.4%マイナスの13億ドルになったという。ただし、アナリストらは同社が長期的に事業を維持していくと予想する。

「中国においては、バリュー・フォー・マネー系のプロダクトの売上は上昇が続いている」と、上海のコンサルティング企業Kantar Worldpanelのアナリストは話す。
「収入の減少に直面した消費者は、安価なアイテムへの関心を高めている」

MINISOは、化粧品や調理器具、小型家電などの雑多なアイテムを販売しており、その中には自社デザインのものと外部企業からライセンスを受けたものが混在している。
同社は中間業者を排除し、工場から直接調達することでコストを削減している。目論見書によると、中国で販売される商品の95%が、7.1ドル以下の価格に抑えられている。

4200店舗のうち、1680店舗が海外の店だという。同社はまだ黒字化を達成していないが、赤字幅は減少が続いており、
2020年度の損失額は前年度から12%マイナスの3700万ドルだった。

創業者の葉は、かつて中国の鉄工所に勤務した後、化粧品や食器を販売する店を立ち上げたという。

現地メディアの報道によると、彼はその後、2013年に日本を訪れた際に無印良品の店舗を見て、MINISOのビジネスモデルを思い立ったという。

葉は同社のビジネスモデルを「MINISOリテール・パートナー・モデル」と説明している。
フランチャイズ店のオーナーは一定の金額を支払い店を開設し、MINISOから商品の供給を受けて、売上の一部を本部に戻している。4200店舗のうち、直営店は129店舗のみとされている。

ただし、MINISOは競合との戦いにも直面している。アリババや拼多多(ピンドォドォ)らも安価な生活雑貨で、消費者の関心を惹こうとしている。

しかし、Kantar Wordpanelのアナリストは、MINISOには先行者メリットがあると分析する。

「彼らは既にブランドを築いている。ただし、今後の課題となるのはブランドのイメージを守り抜き、多様な商品カテゴリを維持するためにサプライチェーンの管理に注力することだ」と彼は話した。
https://forbesjapan.com/articles/detail/37554

https://2019.images.forbesjapan.media/articles/37000/37554/photos/compress/375546ceb291c2c7a3b8b0934609ecfdeb1f2.jpg