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民主主義の総本山こと米国で今、民主主義が危機に瀕している。国民が選んだ議会の代表たちによる、公明正大な票のカウントで当選した次期大統領を確定させる作業が暴力によってひっくり返されようとしたからだ。1月6日の極右の暴動は、保守共和党内の「トランプ党」が中心となって実行した民主主義を完全否定する行為だ。これについては、数多の考察が発表済みである。

議事堂乱入事件を批判する動画メッセージを公開したシュワルツェネッガー氏(写真)

 一方で、煽動を行ったと目される者の言論を、煽りでない部分も含めてすべてソーシャルメディアから予防的に追放し、言論の場から「自由」と「多様性」と「異論」を排除するという形の民主主義の基盤の破壊も、米国では同時に進行している。こちらについては、まだ論考が少ない。

 デジタルトランスフォーメーション(DX)の進行やロックダウン生活の浸透の結果、あらゆる人間関係や取引にテクノロジーが介在するようになった。だが、「ネット掲示板の単なるモデレーターだから」との法律論の屁理屈で、実質的な編集者であるSNSを運営するテック大手が、民主的な議論や透明性ある手続き、司法の判断によらず、何が「真実」で「正しい」かを決定する絶大な権力を振るっている。

 しかも、その決定は党派的に偏ったものだ。これら大手テックは「暴力」や「ヘイト」を口実として、あらゆる非リベラルの異論を言論の場から予防的に排除し、その結果として「トランプ党」同様に民主主義を内部から腐食させている。

 この連載では、民主党とテック大手による検閲のメカニズムと、それを正当化するトリック、さらにリベラルによる異論排除がいかに大企業や財界の利益と密接に結びついているかを明らかにしていく。

■ SNS上の手足をもがれた「トランプ党」

 「リベラルの言論に非ずんば言論に非ず」

 ここで、米IT大手によるトランプ大統領および支持者の言論の場を奪う動きを簡単にまとめてみよう。まず、ツイッターは大統領を個人アカウントから永久追放し、代替となり得る大統領公式アカウントも停止処分とした。フェイスブックと傘下のインスタグラムも、期限未定で短・中期的な利用を禁じた。

 これは、「大統領の発言がさらなる暴力を引き起こす恐れがある」という拡大解釈的かつ予防的なもので、捜査機関の判断や司直による判決ではないことに留意が必要だ。

 また、グーグル傘下のユーチューブ、アマゾン傘下のライブストリーミング配信のツイッチ、トランプ大統領によって米国から追放されかけた中国の短編動画アプリTikTok、ソーシャルニュースサイトのレディット、若年層に人気のSNSであるスナップチャット、メッセージアプリのディスコードなども軒並み、トランプ大統領や支持者を排除した。

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