東京五輪・パラリンピック組織委員会の森喜朗会長の女性に対する不適切発言を受け、
聖火リレーで福島県田村市を走る予定だった同市都路町古道の会社役員坪倉新治さん(57)が9日、参加辞退の意向を組織委に伝えた。
発言を謝罪する組織委からのメールに返信した。
「残念な発言。差別は世界的な問題で、声をあげていくしかない」と話している。

 県公募枠の走者に選ばれた坪倉さん。原発事故の避難指示が一時出た古里の都路地区を走るコースで、
サポートランナーの地元の小中学生約10人と一緒に走る予定だった。地域一体で五輪に参加できると楽しみにしていたが、
「差別をなくすことを子供に指導する立場として受け入れがたい話。間違ったことを正してほしいと思い、夢と引き換えに決断した」という。

 坪倉さんは仕事の傍ら週1〜2回、地元の小学生に和太鼓を教えるなど地域活性化にも力を注ぐ。
「風評という差別を受ける福島県の一人として、組織委には差別のない社会を世界に発信し、五輪を成功させてほしい」と話している。

 また、県内で観光案内などを行う都市ボランティアでも、森会長の発言後に辞退者が1人出たが、県は「個別の理由は答えられない」としている。

 県は坪倉さんの後任について、選出済みの補欠を繰り上げる方向で調整している。
県オリンピック・パラリンピック推進室の佐藤隆広室長は「本人の意向を尊重して対応し、聖火リレーや野球・ソフトボール競技開催に向け、しっかり準備したい」と話している。

https://www.yomiuri.co.jp/national/20210211-OYT1T50085/