新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言が今月末で前倒し解除される関西。京都市の宿泊施設では、観光客が戻ることへの期待が高まっているが、解除後も営業時間短縮要請が続く大阪市の飲食店からは「何が変わるのか」と不安の声も上がった。

 大阪市では解除後も居酒屋などで午後9時までの時短営業要請が続く。道頓堀にある居酒屋の男性オーナー(54)は「やってみないと分からないが、1時間延びただけで何が変わるのか。どうせなら10時までにしてほしい」と一言。ローン支払いのため営業を続けているといい、「これまでよりサラリーマンが来てくれるようになれば」と望みをつないだ。

 大阪市に隣接する東大阪市。近鉄布施駅近くにある居酒屋従業員槙伸二郎さん(63)は「ほっとした、うれしい」と前倒し解除を歓迎した。解除後は営業時間が午後11時に戻る予定という。「大阪市内から流れてくる人も多いのでは。ゴールデンタイムにお客さんが増えるかも」と笑顔を見せた。
 一方、解除により中止や延期となっている観光イベントなどの再開が見込まれる京都。宣言に伴い現在休業中という旅館の若おかみ、馬渕能理子さん(36)は「団体客がすぐ戻るか分からないので不安」としつつ、「個人の予約が増えるのでは」と期待を込める。昨年秋は政府の観光支援事業「Go To トラベル」で予約が増えたといい、「(旅行の)意欲喚起につながる」と事業再開を強く望んだ。
 「感染が確実に収まってからの解除でいいのでは」と話すのは、京都御所近くの宿泊施設マネジャー中村和浩さん(49)。「解除後に人の移動が増えることで第4波が来るのではないか」と懸念した。

時事通信 2021年02月27日07時37分
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