NHK(2021年4月16日 11時52分)
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210416/k10012974451000.html

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※この内容は、18日(日)の「おはよう日本」午前7時台でお伝えする予定です。

週に1、2回、スカートで登校する男子高校生、久保さんです。

きっかけは、SNSで男性がスカートを着こなしているのを目にしたことでした。


久保さん
「男性でもスカートをはくとめちゃくちゃ似合うんだと思いました。この学校では男子生徒もスカートをはいてもいいので、自分もはいてみようかなと。足の動きが自由になるのが楽しかったし、服装の選択肢の1つとしてとらえると何も違和感ありません」


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少子化の時代、そして変化の激しい時代。より充実した学校生活を送ってもらうには生徒の多様性を尊重することが欠かせない。そんな学校の考えが、制服にも表れています。

おととしにはLGBTの生徒も違和感なく制服を着てもらおうとスカートもズボンも性別に関係なく選べるようにしたのです。

工藤宏一校長はそのねらいをこう話します。


工藤校長
「学校のキーワードは多様性。制服もその1つです。周りと同じじゃないといけない、という環境では、安心して自分を表現できません。自分のありのままを表現でき、他人のありのままも受け入れる経験をしてほしい。多様性を尊重する先には、生徒に自信を持って自分の人生を歩んでほしいという思いがあります」


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息子から「スカートを買いたい」と言われたとき、率直にどう思ったのか、母親に聞いてみました。


久保さんの母親
「本人が言うとおりファッションとして受け止める気持ちもあるし、小さいときから何にでも興味を示して好奇心旺盛な子なので、へーと思って聞いていました。外国では男性がスカートをはく国もありますよね」


待望のスカートを手に入れた久保さん。スカートをはくようになって気付いたことがあります。

それは、男性がスカートをはくことに抵抗感を抱く人もいるということです。


久保さん
「自転車をこいでいて車から見る目とか、コンビニに入っているときのまわりの大人とすれ違った時の目とか、奇異な感じで見られているなと感じました」


そしてもう1つ気になることがあります。自由に選んでいいのに、実際には男子生徒がスカートを選びづらいという現実です。

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制服をきっかけに久保さんは「男らしさ」「女らしさ」の固定観念についてより深く考えるようになりました。

例えば髪型。髪を伸ばしている久保さんは、その理由を聞かれるたびに「男らしくない」という価値観があるからではないかと感じています。


久保さん
「女の子が髪を伸ばしていても理由を聞かないと思います。男の子は社会のなかでは髪を短くしておかなければダメみたいなのは、男らしさを押しつけられているようで自分がいちばん気にくわないというか」


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久保さん
「性別を色眼鏡をかけて見るんじゃなくて、そんなものはなくてもありのまま、その人の素を見る、誰もがありのままの自分を表現できる、そんな雰囲気の社会がいちばんいいのかなと自分は思います」


「女らしさ」「男らしさ」といった人を枠にはめるような価値観を見直そうという動きは、学校現場でも広がろうとしています。

例えば、中学校の保健体育の教科書には、「男性らしさ、女性らしさの押しつけや男性なのに、女性なのにといって非難するのはだめ」といった表現もあります。

一方で、出席名簿は男子から、とか、男女で制服や上履きの色を変えるなど、児童や生徒を性別で分けることがまだまだ多いのが現状です。

生きづらさを無くし誰もが認められる社会を実現するためにこれまでの「らしさ」に疑問を持つ。

ありのままの「自分らしさ」を表現する久保さんの姿に社会が変わっていくかもしれない、そんな兆しを感じました。

(一部省略、全文はソースでお願いします)