急激ペースで「中国従属化」が進む日本経済の大問題
このままでいいのか?10年後には後戻りできない状況に
JBpress 2021.4.19(月)加谷 珪一 省略しました。詳しくはリンク記事へ。
https://jbpress.ismedia.jp/articles/-/64951

 日本経済の中国従属化が急ピッチで進んでいる。近年、日本は保守化が進んでいるとされ、中国を声高に批判する論調に溢れているが、どういうわけか中国依存を強める日本の経済界や、それを容認する政府に対する激しい批判は聞こえてこない。このまま事態が推移すれば、日本経済はなし崩し的に中国経済圏に取り込まれる可能性が高いだろう。(加谷 珪一:経済評論家)

■中国が日本にとって最大の顧客に

(略)中国が米国を超え、日本経済は名実共に中国が最大の取引相手となった。(略)

 この動きに拍車をかけているのがトランプ政権が始めた米中貿易戦争である。

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 トランプ政権の失策をきっかけに米中デカップリング(分離)が加速したという図式であり、これは世界経済のブロック化をもたらす可能性が高い。

■ミャンマー問題も中国依存の一形態

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 ミャンマーの高成長が続いてきたのは、中国が軍事政権に対して莫大な支援を続けてきたからであり、結果的に日本企業はミャンマーを通じて中国に依存する状況となっているのだ。

 中国依存は国内の消費市場や金融市場にも及んでいる。

 楽天は2021年3月、日本郵政との資本・業務提携に踏み切ったが、ほぼ同じタイミングで中国のIT大手テンセントからも資本を受け入れた。楽天とテンセントの提携内容は明らかになっていないが、中国と日本の越境ECであることはほぼ間違いない。

■日本と中国のネット通販の一体化が水面下で進行中

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 加えて中国のIT大手は越境ECのインフラを提供する企業も相次いで買収しており、東南アジアと中国のECサイトは一体化が進んでおり、双方の利用者が外国であることを意識せずに、商品をやり取りできる環境が整いつつある。つまり、東南アジアと中国の消費市場は融合していると見て良い。

 そして、テンセントはとうとう楽天にも出資を行い、一方のアリババはすでメルカリとの提携を発表している。中国の巨大IT企業にとって日本はアジアに残った最後の未開拓市場であり、日本の消費市場が中国と一体化するのも時間の問題となりつつある。

 中国と日本の間で相互に商品が出品され、売買が行われるようになると、当然、決済のインフラも共通化されていく。中国はデジタル人民元の配布を開始しており、一連のECサイトの決済にデジタル人民元の決済インフラが使われる日もそう遠くはないだろう。

 実は金融市場の中国依存もすでに始まっている。安倍政権は財政状況が悪化している公的年金を少しでも増やそうと、積立金の運用を日本国債中心の安全運用から、外国株や外債といったリスク運用へのシフトを断行した。今や年金積立金の半分を占める約90兆円が外国株もしくは外国債での運用となっている。つまり日本の公的年金は外国の市場に頼らなければ、維持できない状態となっているのが現実なのだ。

 公的年金を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)における目下最大の課題は中国への投資である。GPIFに必要とされる利回りを確保し、資産を適切に分散投資するためには人民元建ての中国国債に投資する必要があり、今年(2021年)10月からは実際に中国国債の組み入れがスタートする(外国に投資をする以上、保有銘柄や通貨を分散することは必須要件であり、米ドルだけに投資することはできない)。だが、ウイグル問題などを抱え、米国との対立を深める中国への投資は政治的なリスクが大きく、GPIFは難しい決断を迫られている。

■米国はもう日本からモノを買ってくれない

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 筆者は以前から、日本は製造業の輸出で経済を回す輸出主導型経済から脱却し、個人消費を中心に経済を回す消費主導型経済にシフトすべきだと主張している。ITを軸とした高度な消費主導型経済が実現すれば、中国との関係を希薄化できるという大きなメリットがあるが、国内世論の大半はこの方向性に賛同していない。

(略)

 結局のところ、日本が輸出主導型経済を続ける以上、事実上、中国を顧客にするしか道はなく、冒頭で紹介した中国向け輸出の増大は、その動きが顕著になっている現実を裏付けている。これまでの時代は政治と経済は別であるとして曖昧なスタンスも許容されたが、そうした牧歌的な時代はすでに過去のものとなった。日本は速やかに自らの立ち位置をハッキリさせる必要があるだろう。


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