トヨタ自動車グループの豊田中央研究所(愛知県長久手市)は、太陽光を使って水と二酸化炭素(CO2)から有機物のギ酸を生成する「人工光合成」の効率を世界最高水準まで高めることに成功したと発表した。過程でCO2を材料とするため脱炭素化につながるほか、生成したギ酸から水素を取り出し燃料電池の燃料に使うこともできる。早期実用化を目指す。

 豊田中央研究所は2011年に、水とCO2のみを原料とした人工光合成に世界で初成功。当初は太陽光エネルギーを有機物に変換できる割合が0.04%だったが、改良を重ね7.2%まで向上させた。高くても3%程度とされる植物の光合成の効率を上回るという。研究成果は米国の学術誌に掲載された。

 実用化に向けて、生成を行う「人工光合成セル」を従来の1センチ四方から36センチ四方まで大型化し、太陽光が当たる面積を増やした。工場などへの導入を想定している。

 敷き詰めたセルを同じ面積のスギ林と比較した場合、CO2吸収量は約100倍になるという。志満津孝取締役は「CO2を減らし価値のあるものに変換したい」と意気込みを語った。
https://www.sankeibiz.jp/business/news/210426/bsa2104260559001-n1.htm