日本レスリング協会が主催した強化合宿中に大けがを負った元学生王者の谷口慧志さん(24)と母親が、練習相手で東京オリンピック(五輪)代表の屋比久翔平選手(26)や協会などに計2億2600万円の損害賠償を求めた訴訟の判決で、東京地裁は26日、原告の請求を棄却した。

小川理津子裁判長は「あえて危険な投げ技を掛ける理由はない」と指摘。被告側の「両者のバランスが崩れ、後方に投げる形になった」との主張を全面的に認め、不法行為はないと判断した。

判決によると、谷口さんは拓殖大3年だった2017年9月、学生選抜として合宿に参加。屋比久選手とのスパーリングで真後ろに投げられ、頭からマットに落ちて頸髄(けいずい)を損傷し、起立や歩行ができず日常的に介助が必要になった。

原告側は「プレーを中断するため全身の力を抜いていたのに、受け身を取れない危険な投げ技を受けた」と主張していた。

被告は他に、当時協会の選手強化本部長で合宿の責任者だった栄和人氏や日本オリンピック委員会(JOC)、屋比久選手が所属する警備大手ALSOK(東京)。原告側は安全配慮義務違反や、使用者責任があると主張したが、判決はいずれも退けた。(共同)

[2021年4月26日19時21分]
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