アメリカ政府は、国内で製造される製薬大手アストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンおよそ6000万回分について、規制当局の同意が得られれば、ほかの国に提供することを検討していると明らかにしました。

ホワイトハウスのサキ報道官は26日の会見で「アメリカで製造されるアストラゼネカの新型コロナウイルスワクチンについて、今後、数か月の間に分配する選択肢を検討している」と述べ、FDA=食品医薬品局の同意が得られれば、ほかの国に提供することを検討していると明らかにしました。

対象になるのは、すでに製造されたおよそ1000万回分と、6月にかけて製造されるおよそ5000万回分の合わせておよそ6000万回分です。

理由についてサキ報道官は、アメリカではすでに3種類のワクチンの接種が進む一方、アストラゼネカのワクチンについては、まだ使用が許可されていないとして「今後、数か月のウイルスとの闘いで使う必要がない」と説明しました。

アメリカでは、16歳以上の人すべてが接種の対象となり、接種を完了した人は26日までに人口の28.9%となっていますが、世界では、ワクチンの公平な配分が進まず、提供を求める声が強まっています。

ワクチンの提供先について、サキ報道官は先月の会見で、メキシコとカナダへの提供を検討しているとしていましたが、この日の会見では「世界中から要請があり、今後、検討していく」と述べるにとどめました。
https://www3.nhk.or.jp/news/html/20210427/k10012999741000.html