要旨
・mRNA技術はがんワクチンも出るから、潰すには惜しい技術だ。
・COVAXに安価な寄付すれば、発展途上国へケンカさせずに分配する。

ワクチン特許権放棄では“接種遅れ”は解決しない。製薬会社を「儲けすぎ」と批判する前に日米政府がやるべきこと=房広治
MONEY VOICE 2021年5月14日
https://www.mag2.com/p/money/1051543

(略)

■コロナワクチン「メッセンジャーRNA」はブルーオーシャン

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しかし、オックスフォード大学の教授たちも私も、mRNAはブルーオーシャンだと思っている。
How Covid Vaccine Tech Could Fight Cancer Soon
https://m.youtube.com/watch?v=b3hWEC553sU

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■感染症だけでなく、ガンへの免疫力アップも期待できる?
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mRNAは、昨年がビジネスの元年。今後20年間は、ブルーオーシャンマーケットとして、先行グループが多大なる利益を得ることになるだろう。

■ワクチン特許権放棄の議論はどう決着する?(略)

■発展途上国のために米国が購入すれば、世界にワクチンは行き渡る

バイデン大統領は、2兆ドルのコロナ対策パッケージをアメリカ国内の対策のために打ち出した。世界のお金の残高が100兆ドルであるから、2兆ドルぐらいマネーサプライが増えたところで、たいした影響はない。

であれば、発展途上国のワクチンのために2兆ドルを拠出してみればどうだろうか?

COVAXという発展途上国向けの組織が、現在ワクチンを買えない状態でいる。これは、COVAXの買取価格を5ドルに固定して発展途上国への供給を考えたため、ファイザーやモデルナ社は、南アフリカに23ドルで売った方がよいと判断するのが当たり前なわけだ。

では、ファイザーに、アメリカ国内向けの20ドルでアメリカ政府がCOVAXの代わりに2兆ドル分を買う契約をすればどうなるか?

一気に1,000億回、世界の誰もが、11.5年分のワクチンを確保できることになる。これで、特許の一時停止の複雑な議論をしなくて済む。アメリカにとっては、アメリカのGDPの2%にも満たない出費で、アメリカのハイテク会社のやる気を無くさせる事態も避けられる。

実際には、COVAXが1回当たり5ドルは出せるわけだから、アメリカ政府の負担は1.5兆ドルまで減り、また10年しない間にもっと安くて変異株に対して有効なワクチンを開発する方に資金を投下できるわけで、その方が特許の一時放棄を特定の企業に求めるよりも効率的ははずだ。

もうひとつ、なぜこの方法が良い提案だと思うかについては、次の理由からだ。

■オックスフォード大学はコロナが発生することを予測していた(略)

■製薬会社を「儲けすぎ」と批判するのはおかしい

当然、イギリス政府も他の政府も、どの政府もこんな風に予想していなかったので、今回の体たらくである。

ドイツのBiontechとモデルナもオックスフォード大学と同じく、COVID-19と名前がつく前から、登場を予想していたわけだ。すなわち、政府の補助がなくても、10年間、投資を続けた。

車の製造で言うと、A地点からB地点に行くのに、どんな複雑な道であっても、高速で走れる自動運転のソフトウェアを搭載した車体が用意されており、エンジンだけを選べばよい状態になっていたような状況を想像してほしい。

これが、今まで10年かけて創られてきたワクチンが、1年で供給が始まった秘密である。もっと内情を説明すると、COVID-19の分子レベルでの解析結果を受けてから2カ月以内に、オックスフォード大学のワクチンは動物実験が行われていた。これが第1フェーズである。

大学は、寄付で10年間研究を続けたため、アストラゼネカに対して、COVAX経由で5ドルで売ることを条件にし、初期投資の回収を含めて、今年までは、ある一定量をインドのセーラム社でライセンス生産させている。そのため世界最大のセーラム社の製造の過半数がアストラゼネカ製のワクチンで、これが発展途上国向けに行っているほとんどの部分になっている。

ファイザーやモデルナは、一般企業であるため、同じように10年間投資をしていたとすれば、彼らこそが、先の見通せない製薬会社や政治家よりも、このパンデミックを収束されることが称賛されるべきで、「儲けすぎ」とか特許を一時停止するべきという概念は、おかしいのではないかと思う。

■バイデンは、米国民を優先するよりもCOVAXと連携するべきだ
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2兆ドルは、昨年日本が使った補正予算308兆円の0.7%である。日本が1兆ドル出してもよいのではないだろうか。

(有料)
■ワクチン製造のボトルネックになっている材料とは?
■多摩大学徳岡教授との実験