米ニューヨークや周辺地域における日本人や日系米国人の歴史を伝えようと、「ニューヨーク日本人歴史博物館」がインターネット上で開設され、18日に披露する会見が行われた。日系人会や日本企業の関係者らが協力して資料を集めており、「アジア系市民へのヘイトクライム(憎悪犯罪)が増えている今こそ、歴史を通じて理解を進めたい」と期待を込めている。

 歴史博物館は、昨年12月に本間俊一コロンビア大教授や、ピアニストの秋吉敏子さんらが立ち上げた「ニューヨーク日本歴史評議会」による最初のプロジェクト。米国の西海岸やハワイと比べてあまり知られていない、ニューヨークなど東海岸と日本の関わりの歴史を広く発信していくことが目的で、文書や写真などを収集して保存している。

 歴史博物館では、1860年に日本初の外交使節団がニューヨークに到着した時の歓迎のパレードを伝える写真や、当時の新聞記事などを公開。また、日本文化を米国に伝えるジャパン・ソサエティーの創設に関わった高峰譲吉や、ニューヨークで研究活動をした野口英世らの功績を英語と日本語で紹介している。今後は文化や科学などへの貢献に関する資料も充実させ、将来的には実際の博物館も検討したいという。

 18日の会見で、ニューヨーク日系人会のスーザン大沼会長は「差別や憎悪に対抗する最もいい方法の一つは教育と文化交流だ。博物館を通じてそれに貢献したい」と話した。また、山野内勘二ニューヨーク総領事は「このような試みが日本とニューヨーク、日本と米国の友好がさらに強まり、深まることにつながると信じている」と語った。今後も、資料の提供などを呼びかけている。(ニューヨーク=中井大助)

5/23(日) 9:00
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