電動キックボードで歩道を走行し、女性をはねて重傷を負わせたとして、男が大阪府警に逮捕された。新たな交通手段として期待され、規制緩和を求める声を受け各地で検証が進んでいる。一方でどのような課題が見えているのか。実際に記者も実証実験のキックボードに乗って、考えた。

 5月初旬、訪ねたのは東京・六本木にある電動キックボードの「ポート」だ。貸し借りの拠点となっている。

 そこで話を聞いたIT企業に勤める男性(22)にとって、電動キックボードは交通手段の一つになりつつある。この日は友人とともに代々木公園(渋谷区)まで利用するという。

 「自転車よりも楽なので、ジムに行く時など短い距離に利用している」

 男性はそう言って、慣れた様子で裏道を滑り出した。

 男性が利用していたのは、実証実験の一環として4月下旬に始まったシェアリングサービスだ。

 実証実験とは何か。

 電動キックボードは通常、道路交通法で「原付きバイク」と位置づけられている。原付きバイクと同じなので車道しか走れず、免許やヘルメットが必要だ。

 今回の実験では、国の特例で認められた事業者の車両は「小型特殊自動車」という扱いになった。ヘルメットなしで乗ることができ、自転車レーンなどを走ることも可能だ。東京都心のほかに、千葉市や大阪市、福岡市などでも実験が行われている。

 記者も公道で体験試乗した。

 ボードに乗って走り出すと…(以下有料版で,残り2532文字)

朝日新聞 2021年6月4日 13時58分
https://www.asahi.com/articles/ASP6434MZP5CUTIL00J.html?iref=pc_ss_date_article