【ニューヨーク=野村優子】米バイオ製薬バイオジェンは8日、エーザイと共同開発したアルツハイマー型認知症の治療薬「アデュカヌマブ」について、米国で2週間後にも出荷を開始する見通しだと発表した。米食品医薬品局(FDA)が7日に承認しており、認知機能の低下を長期抑制できる世界で初めての治療薬となる。

出荷先となる全米900カ所超の医療機関では、治療の準備が進められている。処方された患者は、アルツハイマー型認知症の原因物質とされるたんぱく質「アミロイドベータ」を調べる陽電子放射断層撮影(PET)検査などを受ける必要がある。出荷対象になっているのは、すでにアミロイドベータが確認された患者のいる臨床試験センターのほか、検査や治療の設備が整っている医療機関となる。

アデュカヌマブの年間治療費は、5万6000ドル(約610万円)。4週ごとに行う点滴治療は、米国の認知症患者の平均体重である74キロの場合1回あたり4312ドルという。

新薬を巡っては、FDAが設置した外部の専門家による諮問委員会から有効性に対して否定的な見解も出ていたが、FDAは承認に踏み切った。

日経

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