Web東奥6/9(水) 9:19

 青森県社会福祉協議会は本年度、「生理の貧困」対策として、県内の女子中学・高校生らを対象にナプキンなどの女性用品を無料で配布する取り組みを進めている。5月には五所川原市と八戸市で実施し、それぞれの会場で用意した約300個を1日で全て配った。担当者は「新型コロナウイルスの影響で生活が厳しくなり、女性用品を含めた日用品購入に困っている人はいる」と話す。

 無料配布は、県社協が昨年度から行っている「こども宅食“おすそわけ便”」の一環。こども宅食では、社会福祉法人などと連携し、青森、八戸、五所川原、三沢の4市で子育て世帯に食料などを無料で届けている。

 生理用品を配布する対象は原則、市内在住の13〜20歳程度の若年者。5月21日に津軽五所川原駅前のカフェ「でる・そーれ」で五所川原市社協と連携して実施。22日には八戸まちなか広場「マチニワ」でNPO法人ワーカーズコープ八戸の協力を得て行った。6月19日には三沢市でも行う。青森市での配布も検討している。

 資金は、県民からの寄付や県共同募金会からの助成を活用している。

 県社協の葛西裕美・社会貢献活動推進室長は「予想以上に生理用品を求める人が多かった。今回の取り組みがきっかけとなり、困窮する子育て世帯とのつながりができ、多方面で支援を続けられたら」と話した。

 県内では、五所川原市教育委員会が7月ごろから、市内全ての小中学校の女子トイレに生理用品を無償で配備する方針を示している。

 新型コロナの影響で、全国的に「生理の貧困」を訴える声が広がっており、民間団体が2月に実施したアンケートでは、学生の約2割が「生理用品の入手に苦労した」と回答。生理期間中に学校を休むなど生活に支障が出たと回答した学生もいた。

▼女性の健康を考えて/貧困問題を研究している弘前大学大学院教育学研究科の吉田美穂准教授の話

 女性の「Well(ウェル)−being(ビーイング)(健康)」を支える基本的なケア用品に、なぜアクセスできない女性や女の子がいるのか。経済的困窮だけでなく、女性の生理が「恥ずかしいもの」「隠れて処理するもの」として扱われてきたことも問題を深刻化させている。買ってもらえないまま放置される状況は、児童虐待でもある。各地で支援が始まったことは大変重要だ。これを機に、生理についてどう語るのか、女性の健康を守るために何が必要か、全ての人に考えてほしい。