親が育てられない子どもを匿名で預かる慈恵病院(熊本市西区)の「こうのとりのゆりかご」(赤ちゃんポスト)に2020年度に預けられた子は4人で、07年の開設以来最少だった。運用状況などを定期的に検証している熊本市が29日に公表した。

 市によると、預けられたのは男の子1人と女の子3人。生後7日未満の早期新生児3人と生後1年〜就学前の幼児1人だった。2500グラム未満の低体重や低体温で医療行為が必要な子どもは2人いたが、虐待が疑われる事例はなかったという。

 親の居住地は、熊本県内、同県を除く九州、近畿、不明が各1人だった。

 大学教授や弁護士らでつくる市の専門部会が、2〜3年ごとにまとめる利用実態や課題の検証結果も公表された。19年度までの3年間に預けられた25人のうち、少なくとも7割以上の19人が、母親が医療機関ではなく1人で出産した「孤立出産」だった。「孤立出産」の割合は07年からの約2年間では31・4%で、近年高くなっている。

 市の発表を受けて会見した慈恵病院の蓮田健院長は、20年度の預け入れが過去最少だった理由の一つとして「新型コロナウイルスの影響で移動が難しかったのではないか」と述べた。(堀越理菜)

朝日新聞 2021年6月30日 7時30分
https://www.asahi.com/articles/ASP6Y5JT7P6YTIPE010.html