オリヒメは高さ23センチ、重さ660グラム。
能面を参考にした、喜怒哀楽いずれにも見える顔が特徴だ。
人の上半身を模した白色のボディーには小さな手があり、拍手をしたり頭を抱えたりといった動作でパイロットの感情を表現できる。
マイクを搭載し、会話も可能。目の部分にはカメラを内蔵している。

カフェのテーブルに置かれたオリヒメに、自宅のスマートフォンなどからログイン。
マウスや画面上のボタンを操作する。店にはパイロットの写真と自己紹介が表示されたタブレット端末もある。
オリヒメで客とおしゃべりしたり、子どもの背丈ほどの自走式「OriHime―D」で飲み物を運んだり。客は「(パイロットが)ここにいるみたい」と驚く。

分身ロボットカフェは常設店舗として今年6月に本格オープン。三好さんは新人パイロットの接遇指導も任された。
「始めはしゃべるのが楽しくてオリヒメの手などを動かすのを忘れてしまうが、その動きにお客さんから『かわいい』『すごい』と反応をもらえてアイスブレーク(緊張をほぐす手段)になる」などと助言を送った。


ただ分身ロボットの認知度はまだ低く、AI(人工知能)を搭載していると誤解される場面も。
三好さんが神奈川県庁内の案内役のパイロットを務めた際、迷っているように見えた人に「何かお困りですか」と声を掛けると、怖がって近づいてくれなかったことがある。
「島根県からお話ししています」と伝えると、きょとんとする人もいた。


オリヒメを介して働ける場はファストフード店や企業のオフィスなど徐々に増えており、オリィ研究所には仕事の依頼がコンスタントに入ってくる。
障害を持つ人だけでなく、海外在住者あるいは育児や介護のすき間の時間を生かしたい人も働きやすい。
オリヒメにログインしていれば、例えば休憩室で仲間と雑談したり相手の声色で体調の変化に気づいたりもできる。

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2021/8/7 14:54
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