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新型コロナウイルスの感染対策を助言する厚生労働省の専門家組織「アドバイザリーボード」の会合。専門家は全員オンライン参加となった=東京都千代田区で2021年8月11日午後2時31分、矢澤秀範撮影

アドバイザリーボード「パラ無観客を」 超過死亡は17年以降最大
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 厚生労働省に新型コロナウイルス対策を助言する専門家組織「アドバイザリーボード(AB)」が11日に開かれた。東京都の重症者が前日から21人増えて197人となり、2日連続で過去最多を更新するなど、現在の感染状況について「公衆衛生体制・医療提供体制が首都圏を中心に非常に厳しくなっており、もはや災害時の状況に近い局面を迎えている」と分析した。ワクチン接種が進む65歳以上の高齢者の感染者も増加傾向にあり、ABは「県境を越えた移動、外出を控え、お盆の帰省は延期の検討を」と呼びかけている。座長の脇田隆字・国立感染症研究所長は、東京パラリンピックでの観客の入場について問われ、「(ほとんどの会場で無観客開催となったオリンピックと)同じような状況が望ましいのではないかと個人的には感じる」と述べた。

 ABでは、直近1週間の人口10万人当たりの新規感染者数について、沖縄(248人)▽東京(200人)▽神奈川(140人)▽埼玉(120人)――など、31都道府県で緊急事態宣言発令の目安である「ステージ4(感染爆発)」(25人以上)を超えていることが報告された。インドで確認された変異株「デルタ株」が東京の感染者の95%を占めると推定され、ABは「ほぼ置き換わった」とみる。

 感染拡大に伴い、東京都では、ワクチン接種の進む65歳以上の新規感染者数の割合も上昇傾向に転じている。8月3〜9日の新規感染者2万8948人のうち、65歳以上は963人で3・3%を占めた。前週(7月27日〜8月2日)の602人、2・7%よりも人数、割合ともに増え、今春の「第4波」で最も多かった614人(4月27日〜5月3日)を上回った。60歳以上の入院者は、7月29日に669人だったが、8月4日に748人に増加した。

 致死率の分析もあり、65歳以上ではワクチン未接種者が4・31%だったのに対し、2回接種を受けた人は0・89%で、ワクチンによる重症化予防効果が確認された。

 また、死者数が過去の水準から予測される死者数をどれだけ上回っているかを示す「超過死亡」について、厚労省研究班が報告した。それによると、1〜5月について今年は5076〜2万4300人となり、2017年以降最大規模となる。新型コロナの流行拡大が主な原因とみられる。5月は東京や大阪、兵庫など30都道府県で超過死亡が例年より多かった。

 この日のABでは、ワクチン接種が済んだコロナ病棟などで働く医療従事者について、濃厚接触者の認定から外す方向で検討することも確認した。【矢澤秀範、金秀蓮】

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