ほお、自民党政府にしちゃ結構なことをやるなあ。
もちろんこういうのは蓋を開けなければわからない。
まあた「分配より成長だ」みたいなわけのわからないことをいわれちゃ困る。
あくまで給与増を期するのであれば、なんやかや理屈をつけて
事業所にゼニを出しているようでは政策目的は期待できない。
トリクルダウンは起きないからなあ。

介護職でも保育士でも老幼を養う重要な産業に従事する人士の
給与が安いことは社会問題として20年以上前から言われているが
遅々の歩みでまったく功を奏しないまま今に至るわけだ。
遅きに失している感もあるが、これは注視したいところだ。

従来もこのような試みは「バラマキ」だの「乗数効果」だのいわれて
著効を発しなかったところはあるし、まあた「特定昇給に限らぬ昇給を」とか
前述の「分配より成長を」式の妨害言説のおそれはあるからなあ。
言うまでもなく政官財の上級国民どもの一角の財、資本家や経営者は
常に自らのために働く大衆労働者への昇給というものを憎悪しているからな。
いわんや自らの事業に関さぬ社会的な昇給の社会運動になりかねないそれも。

その結果がこの30年間の退嬰だ。
資本家どもとそれに媚びる政治家や役人どもの部分最適が
この国を致命的に凋落させ、その社会病理は内需壊滅に少子化という形で
財界の事業にもその毒が回るって言うんだから因業譚じゃないか。
そこには全体最適の観念も国家百年の大計もない。
今さえよければ、自分だけよければよいという資本主義の当然の帰結だ。

ま、話がそれたが、これはキシダ内閣のひとつの試金石だ。
従来の大衆労働者、その中でもとくに低賃金重労働で知られた業界の
賃金上昇を、かつての内閣がまるで出来なかったそれが出来るか
ひとつお手並み拝見と行こうじゃないか。なかなかできることじゃないぜ。

上級国民どもや投資家どもを富ませる政治なんかもういらないんだよ。
どれだけ街場の大衆を救えるか、政治家がやるべきは、そこだよ。