新潟大学の関根正幸氏らは、2014〜20年度に新潟市で子宮頸癌スクリーニングを受けた20〜21歳の女性を対象に、
16/18型のヒトパピローマウイルス(HPV)感染率を調べ、HPVワクチンの接種率が高かった1994〜1999年度生まれの女性では感染率の減少が見られていたが、
積極的勧奨が中止された年に対象年齢になった2000年度生まれの女性では感染率が有意に高くなり、HPVワクチンが登場する以前のレベルに戻っていたと報告した。

結果は2021年10月21日のLancet Regional Health - Western Pacific誌電子版に掲載された。

日本では2010年から、13〜16歳の少女を対象にHPVワクチンが公費負担で受けられるようになった。
しかし、ワクチンとの因果関係が否定できない有害事象が報告され、2013年6月にHPVワクチンの積極的勧奨が中止されている。

この影響で1999年度生まれの女性では68.9%が接種を受けていたが、2000年度生まれの女性では14.3%に急減し、
2002年度生まれ以降の女性では1%未満になっていた。

こうした状況から、子宮頸癌のリスクが高いHPV16/18型の感染率が増加して、子宮頸癌の増加につながることが懸念されていた。

著者らは、2014年4月〜2021年3月までに新潟市で子宮頸癌スクリーニングを受けた20〜21歳の女性のデータを調べた。

年度別のHPVワクチン接種率は、2014年度に20歳になった1993年度生まれの女性が30.8%で、
公費負担が始まった1994年度生まれが87.8%、以後は95年度生まれが90.0%、96年度生まれが92.9%、
97年度生まれが89.6%、98年度生まれが89.2%と高い接種率を維持していた。

しかし、1999年度生まれでは42.4%に下がっていた。
https://medical.nikkeibp.co.jp/leaf/mem/pub/hotnews/lancet/202112/572884.html